第12章 再び
二人に体を貫かれ、正直うまく言って良かったとホッとした。奇跡を信じて飛び込んだ瞬間はドンピシャで、体を走る痛みが成功の証だった。
「……ぐはっ!」
口から血が吐き出される。呼吸がうまくできない。
フェイタンとフィンクスはとっさに手を引き抜く、ポッカリと穴が開いた体を見て、二人は血の気がひいた顔をしている。
「おい!!」
フィンクスが倒れる私を支える。
二人の手が抜かれた場所からは止めどなく、出血していた。フェイタンがとっさに念で止血を施す。
ものの数分で傷口は、粘着質な音をたて閉じた様だったが、アリアは血液を一気に失いすぎたのか、顔色が最悪だった。
「アリア!目を開けるね!」
フェイタンがフィンクスにぐったりと、もたれている私に声をかけるが、なおも全身を襲っている痛みに息すらまともにできない。
「ハァッ……ッグ!」
「おい!しっかりしろ!」
フィンクスの焦った声が意識を保っていられる最後だった。
「へぇ~なるほどねぇ。なかなか凄いじゃないか。」
遠目からだったが、シャルナーク達はハッキリと見えていた。念能力者でもあの傷を負えば、良くて致命傷、普通なら即死だ。しかし、アリアは無傷もいいところ。彼女の治癒の速度は異常だった。始めて間近でみる治癒の能力にシャルナークは使えると判断した。それは他の団員達も同じようだった。
「死んじゃったと思ったのに、綺麗に治っているね。でも痛そうだよ?」
シズクが毒舌混じりに言う。
「確かに、ありゃとんでもなく痛そうだ。でもまぁ、我慢してもらうしかないかな。」
シャルナークは冷静だった。彼の頭のなかは常に利益の計算がされている。使えるものは使う。彼のポリシーに近い。
そんな考えにフェイタンとフィンクスは以前より警戒しているのだった。