第12章 再び
二人の喧嘩は互角だった。だからこそ、何時までたっても決着がつかない。マチが気を使って安全なところで二人の喧嘩を傍観させてくれたが、すでに二人は一時間近く攻防を繰り返していた。
二人の喧嘩の理由はわかっている。原因は自分だ。だから止められるのも自分だろう。しかし、どうしたらいいのか分からない。喧嘩はどんどん激しくなる。遂に二人は念まで使い始めた。
「ったく!団員同士のマジギレご法度だよ!」
マチが声をあらげて言うが、二人には届かない。騒ぎを聞き付けたのか、団員が続々と集まってくるが誰も止めようとはしない。
「あーあ、はじまっちゃったのか、コイントスはじめようとは、もう言えないなこりゃ。」
「ほっとくの?」
シャルナークの発言にシズクが反応する。
「もう、無理だろありゃ。好きなだけやらせとけばいいさ。」
フランクリンもこの態度である。
「団長がいたら止められるだろうけどね。」
コルトピが言う。
「はは、確かにね。」
シャルナークが同意する。
「団長はいつもどうやって止めてたんですか?」
食い下がりに他の団員たちに聞いてみた。
「そりゃ、体をはってさ。団長が念で止めるときもあれば、単純に二人の拳を止めることもあったし。」
シャルナークが答える。
「体をはって……よし!」
少し考え、上に羽織っていたパーカーをマチに預ける。
「ち、ちょっとアリア。何する気だい?」
「二人を止めてきます!」
「はぁ?何いってんだ!あんた、どうやって止めようって思って言うんだ?無理だよ。」
マチが私の肩を掴んで止める。
「それでもあの喧嘩の理由は私。なら止められるのだって私しかいない!」
「ああーもう!アタシは死んでも知らないからね!」
マチは手を引いてくれた。その瞬間に地面を思いっきり蹴り、フィンクスとフェイタンが絶賛殺しあいの中に飛び込む。
フィンクスとフェイタンはお互いしか見えていなかった。だからこそ、目の前に飛んできたアリアをアリアだと認識するのが遅れた。二人は攻撃が命中してから、しまったと思った。しかし時すでに遅し。
アリアの体を二人の拳と手刀が貫通していた。