第12章 再び
次の日、フェイタンのベッドで目覚めた。ふと、体を見るとフィンクスのモノと思われるキスマークとフェイタンのモノと思われるキスマークでいっぱいだった。二人からは少し乱暴に抱かれたが、それでも彼らのことは大切だった。
だからこそ、困っていた。片方しか選べないことに。
「何考えてるか?」
フェイタンが目を覚ましたようだ。私の表情を見て、何かを察したのか質問を投げ掛けてくる。
「!?いえ、何でも無いです。」
「…………」
フェイタンは無言だった。まさか、嘘だとばれたのではないか。そう思い話をそらす。
「あ、あの、腰に力が入らないので手を貸していただけませんか?」
「わかたよ。」
フェイタンは私の手を引くと自身にもたれ掛かるように肩を抱く。
「あと、服が、」
言い終わる前にフェイタンは察してくれたようだった。
「マチに予備の服、預けてあるか?」
「はい。マチなら私の服、持ってます。」
「ちょっと待ってるよ。」
フェイタンは上着をサッと着込むとマチから服を貰ってくる。
「これね。」
「ありがとうございます。」
フェイタンから服を受けとると腰をかばうように着込む。
フェイタンに支えられながら、食堂に顔を出すとフィンクスがいた。フェイタンから殺気が漏れだす。
「……フィンクス。」
「なんだよ。朝っぱらから殺気出すんじゃねぇよ。」
フェイタンとフィンクスは今にも喧嘩をしうな勢いだ。そこへマチが駆けつけるが、状況が状況だけに止められそうになさそうだった。
「ほら、アリア。こっち来な。二人の喧嘩に巻き込まれたら、怪我じゃすまないよ。」
マチに腕を引かれ、フェイタンから剥がされる。それを見計らっていたのか、フェイタンが殺気を更に出し、フィンクスを睨み付ける。
「フィンクス、表でるね。」
「あぁ?受けてたつぜ。」
二人はアジトの建物から少し離れると一気に拳と手刀をぶつけ始めた。
「前々からお前とは決着をつけなきゃいけねぇと思ってたんだよ!」
フィンクスがフェイタンへ蹴りを繰り出しながら言う。その蹴りを軽々と片手で受け止めフェイタンが答える。
「同感ね。フィンクスはいつも調子ノリずぎね。何故そんなにワタシの邪魔するか!」
手刀がフィンクスの喉をめがけ、振り下ろすがフィンクスは軽く避ける。