第12章 再び
フィンクスの体を両手で叩いたり、触れたりして、念入りに怪我の確認をしているとフランクリンが話しかけてくる。
「おい、アリア。そろそろいいんじゃないか。フィンクス、お前はさっさと飯食って、風呂に入ってこい。」
「飯?」
「アタシが教えた料理をアリアが作ったんだ。フランクリン達はもう先に食べたんだよ。ほら、さっさとしな。」
マチの発言にフィンクスは「マチが教えた」と呟き、少し顔色を悪くする。そして、素直にマチのあとに続く。
「ほら、アリアが作ったんだ。ちゃんと礼、言いなよ。この7日間、ほとんどあんたとフェイタンのことばっかり、聞いてくんだから。」
「マ、マチ!変なこと言わないでください!」
慌ててマチを制止するが時すでに遅し、フィンクスは嬉しそうに私の頭を撫でていた。
「お、何だ。寂しかったのか?」
耳まで真っ赤になりながら頷くとフィンクスはわしゃわしゃと豪快に撫でてくれる。
「皿はアリアが洗っといておくれ、アタシは部屋にいるから何かあったらいつでも来な。」
「はい。」
マチが自室に姿を消した。他のメンバーもアジトの中でのんびりと、フェイタンとシャルナークの到着を、待っていた。フィンクスは、マチから受け取った皿を見つめ、フォークを1つもって、自分の部屋に向かうようだった。
「私もお邪魔していいですか?」
着いていってもいいのか聞いてみると、フィンクスは快く引き受けてくれた。
フィンクスの部屋はソファーにローテーブル、テレビ、ベッドが1つづつのいたって、シンプルな部屋だった。
フィンクスはソファーに腰掛け、皿の中の料理を見つめた。「腹くくるか。」とぼやき、一口、二口と口へ運ぶ。フィンクスの横に座り、彼の食べ終わるのを静かに待っていた。
「美味かった。アリア。料理できたなら、何で言わなかったんだ?」
やはりフィンクスの顔色は良くない。
「元々レパートリーが少なくて、言う機会もなくて、マチと過ごしたから、私もレパートリーが増えたんです。」
そう言い終わると、フィンクスは思い出したように、発言する。
「ッチ!つか、男だと、フランクリンが先にアリアの料理を食ったんだよな。」
フィンクスはフランクリンへの嫉妬心を抱いていた。
その感情を持ってしまう理由に、フィンクスは薄々気がついていた。