第11章 クモの刺青
シャルナーク達がアジトから出発し、早速マチと二人だけになってしまった。何か話題がないかと考えているとマチの方から話をふってくれた。
「そう言えばアリア、クモの刺青は何処に入れるつもりなのさ。」
「あ、そうでしたね。」
クモの刺青とは幻影旅団の団員の証であり、団員は体の何処かにナンバーが掘られた12本足のクモの刺青を入れなければいけなかった。
「まぁ、今は抜けた番号が多いから、好きな番号にしなよ。」
「うーん。では、パクの番号がいいです。」
これは以前から決めていた。そう、パクが死んだあのときから。
「へぇーってことは9か。で、何処に入れるんだい?」
「あぁ~。左の肩でお願いします。」
刺青をいれる場所は考えておらず、少し考える。
その時、フィンクスを初めて庇った時のことを思い出す。さらにあの時は確か、フェイタンに弾丸を取ってもらった。そう、あれは左肩だった。そう思った瞬間に頭よりも先に口が動いていた。
「分かったよ。ところで何でそこなんだい?」
「ひ、秘密です。」
「ん?熱でもあるのかい?顔真っ赤だよ。」
首を横に降り、何でもないことを告げる。でも確かに、理由は恥ずかしくて誰にも言えない。そう思うと顔が自然と赤くなってしまった。
「ほら、肩、出しな。はやいとこ入れちまった方がいい。」
「マチさんが刺青入れてるんですね。」
上の服を脱ぎながらマチに質問をする。
「そうだよ。オーラ消して。」
肩をマチの方に向け彼女の言葉にコクンと頷き、オーラを消す。そして、肩にチクリと痛みが走り、一瞬にしてクモの刺青が入れられていく。
「……ッ!」
「終わったよ。」
無意識のうちに目を瞑っていたようだ。ゆっくり左の肩を見ると、そこには思っていたより、小さめではあるが、確かにクモの刺青があった。
「ありがとうございます。」
お礼を言いつつ服を着る。
「別にいいよ。前にアリアが、怪我を治してくれたお礼だ。荷物預かるだけなんて割りに合わないだろ。これでチャラにしてくれないかい。」
「そんな、お礼何て私が勝手にしたことですから。」
「じゃ。これもあたしが勝手にしたことさ。」
「あぁ。分かりました。」
そんなこんなで無事に刺青を入れ、団員としての自覚を強く感じるのだった。