第11章 クモの刺青
「着いたぜ。」
フィンクスが店の扉をあけるとフェイタンに続いて一緒にはいる。
「ここはなんのお店なんですか?」
「カードショップだ。カードと現金を交換すんだよ。」
フィンクスが説明を終えるとバインダーを出し、カードを数枚、店員らしき男に手渡しする。するとお金の書かれたカードがフィンクスに渡される。
「これで終わりよ。」
フェイタンの声で店を出る。
「うし、この前の森に行くぜ。修行の続きだ。」
フィンクスの声に頷く。先日、鬼ごっこの修行をした森へと歩みを進める。
「確か、この辺でしたよね?」
川の近くまで来ると今まで被っていたフードを脱ぎ、周囲を確認する。
「そうね。ささと始めるよ。」
「今日は何をするんですか??」
二人に訊ねる。この前みたいな罰ゲームが待っているかもしれないと、少し身構えてしまった。と言うか勘弁してほしい。
「アリアの武器の選択だよ。」
「武器ですか??」
予想と違い、安堵する。
「アリア。身を守るすべが無いね。何か持てた方が便利よ。」
「お二人は何か武器があるんですか??」
「俺は拳で十分なんだよ。」
その言葉を聞いて、ヨークシンシティーでの一件を思い出す。確かに、フィンクスはジャージ姿でマフィアの頬を殴り付け首を一回転させていた。武器など必要ないくらいの戦いっぷりだった。
「フェイタンは??」
「ワタシは刀よ。仕込み刀。でもほとんど使わないね。手刀で十分よ。」
フェイタンは揺ったりとしている黒い服の中から、傘を一本取り出す。その真っ赤な傘を広げ、持ち手の部分を引き抜くと、綺麗に手入れのされた刀が姿をあらわす。フェイタンが軽く刀を振り回すと、傘の中に仕舞い込んだ。
「実は義理の父が、私に色々やらせてくれて、刀も銃も一通り使い方はマスターしてるんです。」
「なら、単純に好みで選べよ。こればっかりはフィーリングだからな。やる気と興味が大事だぜ。」
フィンクスの言葉にしばらくじっと考える。私の答えが出るのを、フェイタンとフィンクスは、黙って待っていてくれる。