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フェイタンorフィンクス

第8章 now playing


「ッン……んん!」

唇を重ねられ、初めての行為に体が過敏に反応する。
フェイタンの唇から逃れようと、彼の胸を強く押したり、叩いたり、体を後ろに引くが、腰にまわされた腕がそれを引き戻してしまう。更に後頭部を手で押さえ付けられ、フェイタンのキスが深くなる。

「んん!!……ぷはぁっ!」

やっと唇が離されたかと思うと、酸欠で体に力が入らず、フェイタンにもたれかてかってしまう。自分の心臓が煩いほど打っていた。フェイタンとのキスは、癖になりそうなほど、甘かった。

「はは、あの程度のキスでアリア。もうギブアプか?」

首を縦にふる。

「……どうして、キス、するんですか?」

沸騰しそうな頭で考えた台詞は弱々しかった。

「アリアが怯えてて、可愛かたからね。」

「あぁ。そう……。」

言葉をいい終わる前に、眠気が訪れ意識を手放した。

次の日の朝フィンクスに肩を揺さぶられ、起きる。
フェイタンは木の上でまだ寝ていた。私は木にもたれ掛かって眠っていた様だった。

「フェイは朝ダメなんだよ。全然、起きねぇからもう少し寝かしとくぞ。アリア顔、洗いに行くぜ。お前も来いよ。」

フィンクスは私を川のそばまで連れてくる。
昨夜のことは夢ということにしよう。顔を洗いながら考え、無意識に唇を念入りに洗っていた。その様子をフィンクスは隣でじっと見つめていた。

「昨日の夜、お前、フェイとキスしてたろ?」

フィンクスの一言で表情が曇ってしまった。返答に迷っていると、フィンクスは更にこう切り出した。

「あいつのこと、好きなのか?」

「わ、分かりません。」

好きか嫌いかで言えば、フェイタンのことは好きだった。しかし、この場合の好きは恋愛感情の事だ。それはまだ自分には分からない。それを正直に答える。

「お前、わかんねぇ奴ともキスできるのか?」

痛いところを突かれた。焦りの表情が顔に出てしまう。するとフィンクスは私を地面に押し倒した。

「じゃ。俺とも出来るよな?」

え、と声を出す暇もなく、フィンクスと唇を重ねていた。昨夜ように、今度はフィンクスの胸を必死に押し返した。

「ん!……っんん!!!っはぁ。」

「暴れんなよ。興奮するじゃねぇか。」

フィンクスは一度、唇を離すと再び唇を押し付けてくる。ちゅっと音がする。彼のキスは、フェイタンより激しかった。
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