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フェイタンorフィンクス

第8章 now playing


二人の気配がし、急いで頬をつたった涙を拭き取る。

「よ!大丈夫だったか?」

「はい、ありがとう、ございました。」

「ほらよ、今日の飯。」

「あの、お二人の分は?」

「ワタシ達は街で済ませてきたね。アリアは、それ食べてるよ。」

パンと水を受け取り、食べる。
その間、フィンクスは焚き火を作り、フェイタンが火をつけた。
川から上り、髪が湿って寒かったため、暖かかった。
その時、フェイタンは気づいていた、アリアの目が微かに腫れていることに。

夜も耽り、私は木にもたれて目をつぶった。
フィンクスはすでに寝ているのか、器用に木の上で寝息を立てて寝ていた。
何となく眠れず、空を見ると星が綺麗だった。
フィンクスと同じく、フェイタンも木の上で寝ていたが、スッと上から降りてくる。

「どうかしましたか?」

フェイタンに小さく声をかけると、フェイタンは私の傍によってくる。そして顔を覗き込み、まっすぐ目を見つめられる。

「な、何かついてますか?」

あまりの顔の近さに顔が赤くなり、目のやり場に困った。

「目どうしたか?腫れてるね。」

「あ、えっと……」

そう、フェイタンには見破られていた。答えに困っているとフェイタンは続けてこう言う。

「早く言わないと、キスするね。」

ただでさえ顔が近くて恥ずかしいにも関わらず、キスの一言で更に顔が赤くなる。フェイタンはマスクを下にずらし、本気であるこを意思表示する。

「や、やめてください!ちゃんと言うので、少し離れてください!」

フェイタンの胸を押してみたがびくともしなかった。
それどころか余計に近寄ってきた。逃げようと、後ろに下がるが、木にぶつかった。腰に手をまわされ、フェイタンの方へ引き寄せられる。逃げられない。

「す、少し、泣いてしまって……」

「何故か?」

「じ、自分が無力で不甲斐なくて……」

自分の目から涙が出た。隠したくて、恥ずかしくて、目を瞑る。そして、唇に柔らかなもの触れた。
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