第7章 超高額なゲーム
バッテラはゲームプレイヤーを審査で選ぶつもりらしかったが、クモは盗賊である。つまり盗む。
ゲームを奪って、アジトへ帰る道中、フィンクスとフェイタンと一度別れ、パパと宿泊していたホテルへ自分の着替えと昔、手にいれた、グリードアイランドのセーブデータを回収しに一度戻る。キャリーバックに持ち物をつめ込み、もう戻ることはないと父の遺品は適当に捨て、チェックアウトをしてしまった。
電話で屋敷に従業員の解雇を告げると一言「分かりました。」と何かを察したのか、揉めることなくことは進んだ。もといい、緋の目を手に入れるために、ほとんどの事業を手放していた。今となってはその莫大な資金と家族のアルバムだけが、手元に残る。後はすべて売り払った。クモヘ入団してしまった今、帰る家などもういらない。
すべきことを終えると、一人でアジトに戻る。道中、いろんな人から声をかけられたが全て無視した。そして、アジトに着くと、フィンクスやフェイタンにグリードアイランドのセーブデータを見せる。するとフィンクスが訊ねた。
「お前、このゲームやったことあんのか?」
「いえ、やりたかったんですが、本体が高くて買えなかったんです。それでデータだけ手元に残ってしまって。」
「なら、アリアはそれ使うね。ワタシ達、奪た方の使うよ。」
「ゲームする前に、マチにドレス返してきちゃいますね。」
「あ、そうだったな。行ってこいよ。」
二人のもとから離れ、マチにドレスを返した。そして以前フィンクスに買ってもらった動きやすい服に着替える。私たちがオークションに行っている間に、マチが洗濯をしてくれたのか、洗剤の言い香りがした。マチにキャリーバックを預け、二人のもとに戻る。