第7章 超高額なゲーム
頭がいたい。体が怠い。気持ち悪い。息が苦しい。
「ウッ……」
「!?おい!アリア!しっかりしろ!」
アリアの呻き声で、フィンクスはやっと気がついたかと焦った。しかし、アリアの目は固く閉ざされ、苦しそうに顔を歪めていた。
「ッ……パパァ、ママァ、イヤァ……行か、ないで……」
「ッチ!譫言かよ。」
フィンクスには譫言だが、フェイタンにとって今の彼女の悲痛な叫びは、譫言では済まされなかった。
これまで、人質を生かして旅団に入れた者など居なかった。だからこそ、少しずつ何かが変化しているのかもしれない。フェイタンはそう思った。
「フィンクス……フェイタン……死なないで……」
彼女の次の言葉は、フィンクスにも心情の変化をもたらしていた。ほっとけない。その言葉がフィンクスにはしっくり来た。
はじめこそ、アリアをフィンクスは警戒していたが、今ではその時の自分を殴ってやりたいほど、アリアのことを信頼してしまっている。
それも全てアリアが身を呈して、フィンクスを弾丸から守った時からだ。
「フェイ。団長がアリアついて言った言葉覚えてるか?」
「覚えてるね。確か、こいつの面倒見ろ的な奴よ。」
「あぁ。俺もそう記憶している。団長も困った奴を押し付けてきたよなぁ。」
「全くよ。何故ワタシが、ガキの看病しなきゃダメね。」
フェイタンは懐から本を取り出すと、身近にある適当な椅子に腰かける。
「てめぇも俺からしたらガキだよ。ボソッ」
「何か言たか?ギロッ」
「何でもねぇよ。しっかし、アリア。汗ひでぇぞ。気持ち悪そうだな。」
「それなら、お湯、持てくるね。」
「おうよ。」
フィンクスはフェイタンの指示に従い、お湯入れて帰ってくる。フェイタンはそれを確認すると、アリアの服を脱がし始め、タオルを取り出す。あっという間に色白の肌が露になる。フィンクスもフェイタンも女性の裸は見慣れている。しかしこれまで見てきた裸体のなかで、最も美しいと二人は感じた。
「フィンクス、ここ支えてるよ。」
「おう。」
フェイタンは丁寧に体を拭いていく。フィンクスはアリアの体を支え、フェイタンが拭きやすいようにサポートした。そして昨日、買い物をした際に買った予備の服をアリアに着せた。