第7章 超高額なゲーム
フィンクス視点
アリアがパクを最初に気に入っていた。短い間と言えどアリアは他人に情がわくのだろう。ウボォーの時もアリアは落ち込んでいた。
単純に優しい奴だとも思ったし、同時に生ぬるい奴だとも思った。
それはフェイも同じだと思う。
フェイも少なからずアリアのことを気に入っている。
だからアリアの延髄を打った時は驚いた。
「おい、マジかよ。そこまでしなくていいんじゃねぇか?」
「フィンクス、黙るよ。これが一番早いね。」
さらにフェイは気を失ったアリアを担ぐと何かに気づきため息を漏らした。素直に驚きで目が離せないでいると、フェイは俺に目線で一緒に来いと合図した。
全員がいるホールから少し離れるとフェイは口を開いた。
「フィンクス。熱冷ましと飯ももてくるね。あと解熱薬と水もよ。」
「はぁ?」
最初は意味がわからなかったが担がれてるアリアの顔をみると真っ青で息苦しそうだった。風邪か。直感した。
「あぁ。わかった。」
急いで適当な店に入り、フェイに言われた物を盗む。
アジトに戻ってくるとフェイはアリアを自分の部屋のベッドに寝かし、体温を測っていた。
「8度あるね。」
「マジかよ。全然気がつかなかったぜ。」
「やぱりお前、鈍感ね。」
フェイが正論を言う。イラッとした。しかし、今ここで喧嘩してる場合ではない。
「チッ!ほらよ、」
フェイに盗んできたものを袋ごと投げると見事にキャッチする。
「アリア。起きるよ。」
アリアの頬をペチペチと叩き起こすが、上半身だけを起こしてもフラフラしている。
「フィンクス。アリアを支えるね。」
「お、おう!」
フェイは冷静だ。それに比べて俺は何をしたらいいのかさっぱりだった。
「アリア。口開けるね。」
「アッ……」
アリアは熱でボーッとしているが、ゆっくり口を小さく開けた。その口に俺が適当に買ってきたパンをフェイが小さく千切、放り込む。咀嚼も嚥下もゆっくりで、数口で口を開けなくなり首を静かに横にふる。
「薬のむよ。」
「大分、悪そうだな。」
俺がわかるのはその程度だった。
ほぼ食べれてない。
フィンクスはアリアを心配していた。