第2章 1:00
最初にレンが怖がったのは、部屋のものが落ちるシーンだった。隣でつまらん、という表情のフェイタンとは裏腹に、レンは隣でビクビクしていた。そして物が落ちた瞬間にレンは、フェイタンの手を握る。
「ヒッ……!」
そして、次第に腕に抱きつく。目は完全に涙目になっている。
「……。」
フェイタンは変わらずこんなものか。と余裕の表情。
「あぁ~。ごめんなさい。ごめんなさい。」
隣で呪文のように謝り出す。
(何故、映画に謝まてるか?)
フェイタンはその行動が疑問でならなかった。以前にもホラーを一緒に見たときも同じだった。
そして、レンはついにフェイタンの横腹に抱きついた。
「ごわいぃ~。」
涙を流しながらも何故見るのか。と言うか何故泣いてるのか。理解に苦しむフェイタンだった。そして、服が涙で湿っていることにも気づいた。
しかし、そんな二人は他所に映画は進み、ついにクライマックスのシーンが迫る。
悪魔が正体を現すシーンだ。
「いやぁぁあ!何で目玉無いの~!」
(ワタシ達も目玉くりぬいたね。)
「ぎやぁぁあ!!血が出てるぅ!!」
(血なんていつも見てるね。)
「ひいぃ!!首が関節が何でそっち向くのぉ!!」
(ワタシ達も毎日敵にやてるね。)
フェイタンは、隣で騒いでる人物のせいで全く内容が入ってこなかった。映画は諦め、自分の横腹に抱きついて泣き出しているレンの頭をあやすように撫でた。そして、エンドロール。部屋の電気を付け軽く伸びをするとコキッといい音がなる。
「はぁ~レンがうるさくて映画集中できなかたよ。」
「うぅ~。ごめんなさい。」
DVDを片付けながらフェイタンは言う。そして、レンを見つめる。
「どうするね。謝るなら誠意見せるよ。ワタシの服も濡れたね。レンの鼻水と涙でよ。」
「ヒック。服を汚して、映画の邪魔して、ごめんなさい。」
レンは座っていたソファーの上でフェイタンを見つめながら謝る。
「仕方ないね。一晩で許してやるよ。」
「え?」
「泣き顔もそそるね。」
レンが驚いている隙に、フェイタンは自らのベッドにレンを押し倒していた。
その後、レンがホラーを持ってくる日はyesの日だと二人の間で自然となってしまった。