第9章 練習試合
「そんなの抜かなきゃいいだけじゃないスか。誰も言ってないスよ。」
黄瀬君がシュートモーションに入る。
「外がないなんて。」
だけど、それももちろん想定内だった。
「……!!」
バコッ!!
火神君がジャンプして黄瀬君のボールを防ぐ。
完璧だよ、二人とも。
平面はテツ君が、高さでは火神君がカバーする。
単純な作戦だけど、二人の連係が伴っていないと成立しない作戦。
まさに私が目指しているバスケそのものだった。
まだまだ未完成だけど。
「行くぞ!速攻!!」
「っちっ……!」
黄瀬君が誠凛の速攻を止めるべく、勢いよく振り返る。
だけど、すぐ近くにはテツ君の姿が。
……ダメっ!
『危ない!!』
ガッ!
『……!!』
私の声も届かず、黄瀬君の拳がテツ君の頭を直撃した。