第9章 練習試合
「あっ!!?」
「黒子君!!」
テツ君は勢いよく床に倒れ込んだ。
「レフェリータイム!!」
そのコールを皮切りに先輩達がテツ君に駆け寄る。
私も救急箱を持ってすぐさま駆け出していった。
『すいません!通してください!!』
出血のほかに怪我はないか確認する。
…よかった。傷はおでこだけで済んだみたい。
でもぶつけた影響で少し瞼も腫れてる。
『止血するからちょっと痛むかも…。』
「大丈夫です。お願いします。」
『肩捕まって?』
「失礼します。」
取り敢えずテツ君にはベンチに横になってもらって手当を始める。
『ごめんなさい。タオルとドリンク、お願いしてもいい?』
「お、おう、任せとけ。」
他の一年生のみんなに用事を任せ、テツ君の手当に取り掛かる。
…あんまり傷は深くないみたい。
でも、安心は出来ない。
『テツ君、…もうこれ以上は。』
「…そうね、黒子君はもう出せないわ。」
テツ君の選手生命を守るためにもこれは必要な事だ。
「不本意な結末だが…、終わったな…。あの一年コンビが欠けた以上…、あとは点差が開くだけだ。」
海常の選手の心無い言葉が胸に突き刺さる。
悔しくて、コートに立てない自分が無力で、無意識に自分の拳を強く握りしめていた。
「一花。」
そんな時、誰かに手を掴まれ名前を呼ばれる。
『火神君…?』
火神君は私の拳を優しく解き、手のひらについた爪の跡を指先で撫でてくれた。
「あんま背負い過ぎんな。別にお前のせいじゃねぇ。…だから、俺たちを信じろ。」
『火神君…。』
「そうよ、一花ちゃん!今は残りのメンバーでやれることやるしかないでしょ!!」
『リコ先輩…。』
そうだ。私だけが戦ってるんじゃない。
私が目指してたバスケ。それはみんなが全力で支え合って、全力で楽しんでバスケをすること。
一番大事な事を私は忘れてた。
『…そうですよね。私にも精一杯サポートさせてください!!』
「当たり前じゃない!それじゃあ、まずは…、OFは二年主体でいこう!」