第9章 練習試合
第2Qが始まり、日向は海常の陣型を確認した。
(海常DFはマンツーのまま、よし。)
パスによって火神にボールが渡る。
目の前には火神をマークする黄瀬がいた。
「……?何か変わったんスよね?」
そんな黄瀬の言葉には反応せず、火神はドリブルで抜こうとした。
(……?ただのドライブ?またフェイダウェイとか…?)
しかし火神が突然後ろにパスを出した。
「!?」
それに驚いた黄瀬がボールに目を取られる。
しかしそこにいたのは黒子。
パンッ!
(黒子っちと連係で!?)
火神は一直線に抜くことを止め、黒子を通して黄瀬を抜いたのだ。
黒子のパスで黄瀬を抜き、再び火神にボールが戻る。そのままダンクを決め誠凛に得点が入る。
【誠凛 29-35 】
「っし!!」
『やりましたね!』
「えぇ!」
ベンチにも嬉しそうに笑う一花とガッツポーズをするリコの姿があった。
すると、再び火神がボールを持ち黄瀬を抜こうとする。
そして先程と同じように後ろにパスを出した。
「また…スか!?」
(同じ手には…、)
しかし黄瀬の動きに反応した黒子は火神にではなくノーマークだった日向にパスを出した。
「あっ!!?」
日向はそのままシュートを放つ。
ボールはリングに吸い込まれるように入っていった。
「来たぁ、3Pー!!」
「3点差!!」
点差が縮まり、どちらが勝つか分からない試合に体育館中が盛り上がる。
「ちょっとは見直したかね、一年二人!……って、おおおい!!」
日向は得意げに眼鏡を押し上げて、チームメイトを振り向くが誰も聞いちゃいなかった。
『日向先輩!ナイシュです!!』
「おぉ、お前だけだよ…、三浦…!」
「日向君、早く戻って!!」
「は、はい!」
誠凛はよく分からない茶番を繰り広げているが、海常は点差が縮まり始め警戒を強めた。
「相当打ち込んでるぞ、あの4番…。後半気ィ抜くなよ。」
キャプテンの笠松がチームに締まりを入れる。