第9章 練習試合
火神でも歯がたたない黄瀬の弱点が黒子だという意見に体育館にいる誰しもが驚いた。
『(やっと気付いたんだね、火神君…。)』
実のところ、一花は中学生時代から黄瀬の弱点を見抜いていた。
それは黄瀬と同等、もしくはそれ以上の力を持つキセキの世代、そして存在自体を見ることができない黒子自身のプレイはコピーできないということ。
『(でも、黄瀬君ならいつかそれを…。)』
未だ見えぬ黄瀬の未来像に一花は少し微笑む。
「で?確かに黒子っちのプレイだけは見てもムリっス。けど、それで何が変わるってゆーんスか?」
火神の言葉に一瞬面を食らった黄瀬だったが、すぐに不敵な笑みを浮かべる。
「第1Q終了ー!インターバル2分です!」
そこへ丁度笛が鳴った。
選手たちは各々ベンチへ戻って行く。
しかし、火神と黄瀬だけは未だに対峙していた。
「変わるさ!次の第2Qでホエヅラかかせてやる!」
そう言って火神は誠凛ベンチに戻っていった。