第9章 練習試合

「それでは試合再開します！！」

そのコールが響くと、ザワザワと体育館が騒つく。


『やっとだ…。』

やっと二人のバスケで戦う時が来た。




「「キャァアア！黄瀬クーン！！」」

「な、なに！？」

黄瀬君の登場に興奮した女の子たち歓声を上げる。
リコ先輩はその様子に驚いてるみたいだった。

『黄瀬君が出るといつもこうなんです。』

「そ、そうなんだ。」

『お陰で何度苛められそうになったことか…。』

「(…なるほど。だから黄瀬君にはあんまり好意的じゃないのね…。)」

『でも、その度に守ってくれましたし、それに応え続ける黄瀬君のことは尊敬してますけどね。』


中学の時よりファンの量が多くなってる気がする。

そのファン一人一人に応えるように手を振り続ける黄瀬君。そしたら、海常のキャプテンにキックされてた。

痛そう…。

それでも肩パンし続ける笠松さん。そして、その度にいてっ、と反応する黄瀬君。

見慣れてみれば面白いかも…。


…って、そんなこと考えてる場合じゃなかった。


試合開始のホイッスルが鳴り私も切り替える。


予想通り海常は黄瀬君中心で攻めてくるみたいだ。
早速海常のOFになり、笠松さんから黄瀬君にボールが渡る。すると、黄瀬君がダンクの体勢に入る。


あれは、さっきの火神君の…。


「こっちもアイサツさせてもらうっスよ…！」



ガシャン！！




そう言って黄瀬君は強烈なダンクを叩き込んだ。
威力は恐らく火神君より上…。


『…まずいかもしれません。』

「えっ…？」


黄瀬君のダンクの威力に驚いている火神君に向かって、挑発する黄瀬君。

案の定、火神君はムキになり走り出す。

「黒子ォ、よこせ！！！」

その言葉にテツ君が素早く反応し、ボールが一瞬で火神君の手に渡る。


そして再び火神君がダンクを決めた。



「こっちも全開でいくぞ！！」