第9章 練習試合
かつては自分達に見せていた笑顔に、キュッと胸が締めつけられた。
あんな笑顔見るのいつぶりだ?
ねぇ、一花っち。
やっぱり俺たちがその笑顔を奪っちまったんスかね…?
それでも一花が笑顔でいてくれるなら、自分も自然と嬉しくなる黄瀬。
俺じゃないってのが、ムカつくっスけど…。
火神大我。
アイツが一花っちを変えたんスね。
そこは認めてやるっスか。まぁ、バスケではまだまだだけど。
「黄瀬!ちょっと来い!」
感傷に浸っていた黄瀬は、監督である武内に呼ばれ仕方なくベンチに戻って行った。
しばらくして一花と火神もリングを離れた所に置き自分のチームの元へと戻って行く。
『そういえば火神君。』
「あ?なんだ?」
『…ゴールっていくらするんだろう。』
「え!?あれって弁償!?」
『さぁ、分かんない…。』
一花の言葉に、無駄な不安を抱えたまま試合に臨む火神であった。