第9章 練習試合
火神の馬鹿力のお陰で練習試合は全面コートで行われることになった。
「まさか火神があんなことするとはな〜。」
「な、俺らでも予想外だったぜ。」
日向達は試合の準備をしながら火神の方を見る。
「……つーかさ。」
火神は自分が壊したリングで遊んでいた。
一人ではなく…
………一花と。
「あの二人、いつの間にあんなに仲良くなってたんだ?」
「つーか、何アレ。」
日向達は火神と一花の会話に耳を澄ませた。
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「リングって思ったよりデケーな。」
『凄いね、火神君。想像以上だよ、まさかほんとにゴール壊すとは。』
「まぁな。…つーか一花、体小っせぇから通り抜けられんじゃね?」
火神が持っていたリングを一花の頭に被せる。
『流石にそれは無理だよ。』
「そうか?」
『そうだよ。』
「でもお前ほんと小さいな。」
『うるさい、火神君が無駄に大きいだけだよ。』
「無駄って…。」
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(……なんか…)
(………火神…)
((((ムカつく!!!))))
その様子を黄瀬も同じように見ていた。
「黒子っち、黒子っち!」
黄瀬は手招きし、近くにいた黒子を呼ぶ。
「あの二人ってあんなに仲良かったんスか!?」
「そうですよ。」
「えー、ズルイっスー!黒子っちはなんとも思わないんスか!?」
黄瀬は隣にいる黒子から共感を得ようと問いかけるが、黒子は正反対の回答をする。
「なんとも思わないですよ。」
「えっ?」
「一花さんがあんな風に笑っていてくれるなら。」
「……!そうっスね…。」
火神といるとまるで花が咲いたような笑顔になり、一花は安心しきっている様子だった。