第9章 練習試合
試合が始まり、ジャンプボールに備える選手達。
リコ先輩はその一人一人の身体を分析していた。
体格から見てもそのフィジカルは流石全国区と言えるもので、恐らく先輩たちはやや劣っているだろうと思う。
リコ先輩もそう視たようで少し焦ったような表情をしていた。
「正直さすが全国クラスってカンジね…。」
『確かにそうですね…。でも、恐らく大丈夫だと思います、あの二人なら。』
「…どういうこと?」
『一発かましてこいと言っておきましたから。』
「そ、そう…。(笑顔で言うからちょっと怖いのよね…。)」
リコ先輩が若干引いたような目で私を見る。
私、そんなに変なこと言ったっけ…?
まぁ、いいや。
そんなこと考えてるうちにボールは海常の選手に渡っていた。
「んじゃまず一本!キッチリいくぞ!」
そう声がけして態勢を立て直す海常のキャプテン。
でも、そんなことしてると彼に捕まるよ…?
バチッ
予想してた通りあっという間にテツ君にボールを弾かれる。
そしてそのボールはそのまま火神君に渡った。
『っいけ!』
さっきまでキレてた火神君はその鬱憤をゴールに叩きつけるかのようにダンクをかます。
バキャ!!
『よしっ…、ってアレ?』
着地した火神君の右手には意外と大きなリングが。
「おお?」
「「「おおおぇぇ〜!?」」」
ゴールぶっ壊して来いとは言ったけど、まさか本当に壊してくるなんて…。
『プッ、アハハハ!』
最高だよ、火神君。ここまでやってくれるとは思ってなかった!
やっぱりあなたに任せてよかった。
「どーする黒子、コレ。」
ゴールを弄りながらテツ君に聞く火神君。
…あんなことして指痛くないのかな?
「どーするって…。まずは謝ってそれから…
すみません。ゴール壊れてしまったんで全面側のコート使わせてもらえませんか?」
静かにだけどはっきりと意志を持って伝えるテツ君。
テツ君も実はすごいムカついてたのかな…笑
でもすごくスッキリした!
ふと様子が気になり黄瀬君を見てみると、テツ君達を見て不敵に笑っていた。