第8章 訪問者
「これがキセキの世代…!黒子、オマエの友達スゴすぎねぇ!?」
その言葉に少し違和感を覚える。
それはテツ君も同じみたいだった。
「……あんな人知りません。」
「へ?」
私も油断していた。
彼の姿を見ていないのはたったの数ヶ月。その間の成長スピードはある程度予測していた。
けど、黄瀬君は予想を遥かに超える速さで進化していた。
それはきっと彼らも。
「ん〜…、これは…ちょっとな〜。」
『……。』
黄瀬君は期待外れといった表情で頭を軽く掻きながら呟いた。
そして、私とテツ君を見てはっきりと言う。
「やっぱ黒子っちと一花っちください。」
「「「……!?」」」
「ウチおいでよ。また一緒にバスケやろう。」
「………なっっ!?」
リコ先輩や部員の皆さんが驚きの声を漏らす。
火神君はどこか落ち込んでいるようにも見えた。
「マジな話、黒子っちと一花っちのことは尊敬してるんスよ!黒子っちはともかく、一花っちの実力を知らないんじゃないスか!?」
「一花ちゃんの実力?」
黄瀬君の言葉にリコ先輩が反応する。
「やっぱり知らないんスか?今のキセキの世代がいるのは一花っちのお陰と言っても過言では無いっス。」
個人特有の才能を伸ばす練習法。
全体のメニューとは別に作られた自分だけの練習メニュー。
そしてそれを直接指導できる実力。
時折与えられるアドバイスはその後の練習に大きな影響を与えた。
「それを全部一人でこなしてたのがオレらのプレイを観察してた一花っちっス。」
黄瀬君ちょっとペラペラ喋り過ぎだと思うんだけど…。
「………マジで?」
『…お陰で予想以上に伸びてしまいましたが。』
先輩たちから興味の目で見られる。
…だから注目されるのは苦手なんだよなー。
「こんなとこじゃ宝の持ち腐れだって!ね、どうスか?」
黄瀬君って意外としつこいし、失礼なんだね…。
そんな黄瀬君をテツ君が一刀両断する。
「そんな風に言ってもらえるのは光栄です。
丁重にお断りさせて頂きます。」
「文脈おかしくねぇ!?」
黄瀬君ナイスツッコミだね。
「一花っちも変なこと考えてないっスよね?」
バレてた…。