第8章 訪問者

「…なっ、なんでここに！？」

よっ、と体育館のステージから降りテツ君の元へ向かって行く黄瀬君。


「いやー次の相手誠凛って聞いて、黒子っちが入ったの思い出したんで、挨拶に来たんすよ。中学の時一番仲良かったしね！」

「フツーでしたけど。」

「ヒドッ！！！…って、そこにいるのって……まさか！」


ヤバイ、目が合った。


咄嗟に逃げようとするが火神君に腕を掴まれる。


「おい、どこ行くんだよ。」

『お願い、離して！！』

「…なんだ？聞こえねー。」


なるべく小さい声でお願いするも虚しく、黄色い彼に捕まった。


「一花っちーーーー！！！」

『ぐふっ。』

「会いたかったっスよ〜！！！相変わらずちっさいっスね！！」

『う、うるさい！平均だもん、ってかちょっと離れて…！！』


男の人の全力で抱き締められると正直すごく痛い。
背中がミシミシ鳴ってる…。


「イヤっス！もう、急に居なくなるから心配したんスよー！！」

『それは謝るから、いい加減離れて…！』

「絶対にイヤっス！もう離さないっスよ！！」


そんな私達の様子を見て先輩達がコソコソと話し出す。


「もしかして黄瀬君と一花ちゃんって、そういう関係なのかしら…。」

『違います！黄瀬君とは何もありません！！』

「なっ、黄瀬君！？前みたいに涼太って呼んでよ〜！！」

「ほらやっぱり！絶対元カレよ！！」

「あぁ、あれは黒だな。」

日向先輩！？

『違います！！ってゆーか本当に離れて下さい！！』

必死に頼み込むと渋々といった様子で、ようやく腕を解いてくれた黄瀬君。


「…ブー。後で事情聴取っスからね。」

『分かった…。』


そう言って離れようとする黄瀬君に向かって一球のバスケットボールが飛んできた。