第8章 訪問者
ーキセキの世代の1人、黄瀬涼太を獲得したトコよ。
その言葉に火神君の顔つきが変わる。
僅かだけどテツ君も反応を見せる。
明らかにテンションが上がっている火神君を見るとなんだか可愛らしく思えてきた。
『ふふ。』
「何笑ってんだよ。」
『なんか楽しそうだなーって?』
「当たり前ぇだろ。まさかこんなに早くやれるなんてな。ありがてーぜ!!」
子供みたいにはしゃぐ火神君。
私よりうんと高い彼の頭をポンポン撫でる。
「ななな、何だよ!!」
『ご、ごめん!なんか可愛いなーと思ったら、手が勝手に…。』
「はぁ?可愛い?そんなもん男に言うんじゃねぇよ。」
『だからごめん〜!!』
「ったく…。可愛いっつったらお前の方が…って、何言ってんだ、俺!!」
軽く言い合いしてたら、火神君が急に大声あげるからびっくりする。
『な、何?どうしたの?』
「なんでもねー、忘れてくれ…。」
『う、うん?』
火神君と私の間に流れている微妙な空気を一変するようにリコ先輩が叫ぶ。
「ちょっと火神君!な〜に一花ちゃんとイチャイチャしてんだ、コラァーー!!」
「いってぇぇええ!!」
『ちょ、ちょっとリコ先輩!?』
あろうことか火神君の背中を思いっきり叩いた先輩。
痛そう〜…。
「ってかそんなことより!」
「そんなこと!!?」
「何!?なんでこんなにギャラリーできてんの!?」
「聞いてねぇ!!?」
全く会話が噛み合ってない二人。
でも確かに、今日はギャラリーが異常に多い。
どうしてだろう?
……まさか!
振り向くとそこには、黄色の髪の毛に中学の頃からは少し成長した彼がいた。
「あーもー…。こんなつもりじゃなかったんだけど…。」
『…あれは。』
「……お久しぶりです。」
「(キセキの世代の…、なんでここに…!?)」
「「「黄瀬涼太!!」」」