第6章 幻の6人目
《一年 11-08 二年》
それから火神の勢いだけで得点は一年生が先行する。
だが、そんな火神も試合の間ずっとイライラしていた。
(んなことより…クソッッ!神経逆撫でされてしょーがねー…!)
その視線の先には黒子。
黒子にパスが回ってきてボールを持つが、
バチッ!!
「スティール!?またアイツだ!」
「しっかりしろー!!」
すぐにスティールされボールを奪われる。
(意味深なこと喋ってた割にクソの役にも立ちゃしねぇ…。ザコのくせに口だけ達者っつーのが…)
「一番イラつくんだよ!!」
「……!!」
またもや二年がシュートしようとしたボールを火神が止める。
「高っ……!」
「もう火神止まんねー!!」
『(…わけにはいかないかな。)』
一年達が次々と興奮するなか、一花と同様二年達は冷静だった。
「そろそろ大人しくしてもらおうか!」
ここから二年生の反撃が始まった。
「………!」
「三人!?」
ボールを持っていた火神のマークが三人になり、思うようにゴールに近づけない。
『(…なるほど。)』
「そこまでして火神を…!」
「しかも…!」
『ボールを持ってなくても二人…。ボールに触れさせもしない気ですね。』
いい作戦だ。火神君さえ封じてしまえば二年生に対抗する力がほぼゼロになったも同然。
だが、それは彼が動かなければの話。