第5章 1on1
「お前、バスケの神様って呼ばれてんだろ?…勝負しろよ俺と。」
黒子はその発言を聞くとさっきまでのポーカーフェイスを崩し、焦ったような様子でその勝負を止めようとする。
「それはダメです!!」
「あぁ?何でだよ。…まさか、お前も弱いのか?」
「それは…。」
『いいよ、テツ君。』
「でも…!」
一花の言葉を聞いても、尚反対する黒子。
「(何をそんなに躊躇してんだ…?)」
『やろっか、火神君。』
「(まぁ、相手してくれんならそれでいい。)おう、ボールそっちからでいいぜ。」
『ありがとう。じゃあ、始めよっか。』
そう言うや否や、火神の前から消えるようなスピードでドライブする一花。
「なっ…!」
その後華麗にレイアップシュートを決める。
『まず1点目。次火神君からで。』
「(今、速過ぎて見えなかった…。)ハハッ、いいね。どんどんやろーじゃねぇの…!」
「(一花さん…。)」
対決する二人の様子を心配そうに見つめる黒子。
だが、その心配は他所に勝負はあっという間に着いた。
「(強ぇ…!ここまでやるとは…。)三浦、お前すげぇな。」
『そんな事ないよっ…、ゴホッゴホッ!!』
「三浦…?」
「一花さん…!!」
先程まで溌剌とプレイしていた一花が突然咳き込む。
やがて呼吸困難を起こし、その場に座り込む。
「お、おい!!大丈夫か!?」
火神はその細い体を受け止め背中を摩る。
『はーっ、っは、っは…!』
しばらくすると、容態が安定してきたのか呼吸に落ち着きが戻ってくる。
「…おい、大丈夫かよ?」
火神が心配そうな目で見つめる。
『だ、大丈夫。ちょっと動き過ぎただけ。火神君は強いね、きっといい選手になるよ。』
「なぁ、お前あんまり運動しちゃダメなのか…?」
『過度なものはね。少しなら大丈夫だよ。』
一花の言葉を聞き、罰の悪そうな顔をする火神。
「そ、その…すまねぇ。無理に付き合わせちまって…。」
叱られた犬のように反省する火神君の様子がなんだかおかしくて思わず笑ってしまう。
『アハハハハ!!』
「な、何笑ってんだよ!」