第5章 1on1
『ううん、何でもない。ありがとう火神君、心配してくれて。私なら大丈夫。私も久し振りにバスケできて楽しかったから、ね?』
支えてもらってた腕からそっと離れ、笑顔で礼を言う。
『そんな暗い顔しないで?これから一緒に頑張ろうね。』
「…おう。」
ようやく笑顔を見せてくれた火神に安堵の息を漏らす一花。
「なぁ、三浦。」
『ん、何?火神君。』
「そ、その…、一花って呼んでいいか…?」
不安げな表情の火神を笑い飛ばすように言った。
『モチロン!!』
…見つけた。新しい光となる人に。
テツ君はこの事にもう気付いたのかな?
…あっ、そういえば、テツ君のこと忘れてた。
『テツ君!』
「はい。」
『きゃっ…!』
黒子の突然の登場に思わず声が出てしまった。
「二人とも僕の事置いていき過ぎです。」
『ごめんね、テツ君…。』
「す、すまねぇ。(マジでどこいってたか忘れてた…。)」
「そろそろ時間も遅いです。早く帰りましょう。」
『そうだね。』
それぞれ自分の荷物を取りに行く。
「一花、送ってく。」
『いいよ、別に!』
「無理やり付き合わせちまった詫びだ。」
『…ありがとう。優しいね、火神君は。』
「べ、別にんなことねぇよ!」
「またボクのこと忘れてませんか?」
「うぉお!!」
『驚き過ぎだよ、火神くん笑。』
三人での帰り道は足取りが軽くて、とっても楽しかった。
火神大我。
私達の願いを叶えるにはきっと、必要不可欠の人になる。
でもそれ以上に彼のことが気にかかる。
なぜ?もし、それを恋心と言うなら絶対に認めない。
ー私が恋をするにはもう時間が足りない。