第5章 1on1
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黒子と一花は火神に連れられ、ストリートバスケのコートに来ていた。
「オマエ…一体何を隠してる?」
『「……?」』
火神の言っていることの意味が分からないとばかりに、無言になる二人。
それを察した火神は改めて説明をする。
「…オレは中学二年までアメリカにいた。日本に戻ってきてガクゼンとしたよ。レベル低すぎて。
オレが求めてんのはお遊びのバスケじゃねー…!もっと全力で血が沸騰するような勝負がしてーんだ。」
火神は改めて黒子を睨みつける。
「…けどさっきいいこと聞いたぜ。同学年に「キセキの世代」って強ぇ奴らがいるらしーな。オマエはそのチームにいたんだろ?」
火神は手にしていたボールをパシッと黒子に渡す。
「オレもある程度相手の強さはわかる。ヤル奴ってのは独特の匂いがすんだよ。
…が、オマエはオカシイ。弱けりゃ弱いなりの匂いはするはずなのに…
オマエは何も匂わねー。強さが無臭なんだ。」
火神君の意見はある意味的を得ているかもしれない。
テツ君は強くもあり、弱くもある。
「確かめさせてくれよ。オマエが…「キセキの世代」ってのがどんだけのもんか…!」
それは無理じゃないかな…
「……奇遇ですね。ボクもキミとやりたいと思ってたんです。」
……え?
「1対1。」
ええーー!!
『ちょっと黒子君!?』
「これ持ってて貰ってもいいですか?」
テツ君はそう言って学ランを渡してくる。
『いいけど、一体何を考えてるの?』
「勝つ気はないです。ただ、確かめたいだけです。」
『…頑張ってね。』
「はい。」
そう言って同じように学ランを脱いでいる火神君の元へ向かっていった。
…火神君、あんまり怒らなければいいけど。
一花は既に始まった二人の試合を心配そうに見ていた。