第5章 Investigative
現時点で知る限り革命軍の目的は
『世界政府を倒し事実上革命を起こすこと』
貴族制度や天竜人の存在をよく思っていない彼等なら、このグラン・テゾーロも例外ではないだろう。
急ぎとは言わないがこの船も標的になるに違いない。
……いや、手始めにこの船に革命をもたらそうとしているのかもしれないが。
となれば、莫大なギャンブルをしかけてこの場を事実上壊すってことも___
「___随分と余裕があるようだな、嬢ちゃん」
「!」
ハッとして意識を目の前の彼に戻す。
そうだった、彼は革命軍。
ルフィにとっては敵ではないけれど、今の私にとっては敵になり得るんだ。
ヘマをして殺されたりでもしたら元も子もない。
「申し訳ございません、少し考え事をしていました。」
「大方俺達の目的を推測してたというところだろう」
「!……」
そういって彼は手に持っていたグラスを置いた
「嬢ちゃんにだけ正直な話をしてやろう……実の所、今の革命軍にココに対しての明確な目的はねェんだ」
「……ならなんの為に貴方はここへ?」
「そう急ぐな」
彼は今度はいつの間にか頼んでいたらしい焼酎に手をつけている
「簡単に言えば調査目的だ。
テゾーロは世界政府との繋がりはおろか裏の世界との繋がりもある。世界の20パーセントの通貨を掌握するんだ。手がかりくらいはあるとみてだな……」
__推測通り、と言ったところか
レイズ・マックスは喋りきると焼酎をちびちびと飲んでいき、そしてニヤリと悪そうに笑った
「嬢ちゃんの欲しかったような情報じゃなくてガッカリか?」
「!……はっ」
随分と舐められているな、と確信しつい笑ってしまう
「正直予想通りです。私も情報目当てに誘ったわけではないですから、それより」
「?」
接待モードはもう終わり、というような切り替えで『名前』は彼に対し真っ直ぐ見据える
「──随分と口が軽いんですね」
「!」
少し驚いたのか彼は目を見開く
「普通、どうみたって弱く勝てる相手だと見込んでいたとしてもそんなに話す……いや、大人しくついてくることもありえないでしょう?」
「……」
『名前』は赤ワインをつ、と呑み
「お互いに時間は有限なんです。ここは一つ単刀直入に申し上げませんか?」
血のように口元についたワインを親指で拭った