第5章 Investigative
その後も程々に接客はしながら喘ぎ声を聞いては無意識に判別していた。
やっていることは現実ではグレーな仕事だが、この船ではそんなこと関係ない。むしろこの船自体がタブーな所もある。
今回の調査では特段レストランの時のような問題はないなと思っていた。が、
「__きゃあ!」
「!」
喘ぎ声とは違う明らかな叫び声。
声のほうに振り向くと裸体の女性と___見るからに悪そうな男が部屋の外にいた。
見ればわかる、これは問題発生。
「ンの……全然ブツがたたねぇんだよ!ヘタクソ!」
「ひっ」
男がそう怒鳴ると女性は胸を隠しながら部屋の中に逃げるように走っていった。
あ、といい男が女に手を伸ばしたころには遅く、もう扉は閉められていた。
「おい!金払ってんだぞ!何逃げてんだ!」
ドンドンと荒く叩かれる扉。これはまずいなと思い周りの男性陣含む他のスタッフに目を向けると怖気付いて腰がひけて私にいけと言わんばかりに目を向けた。
「……また私しかいないってこと」
ボソリと吐き捨てるようにそう言った『名前』は未だに扉の前で騒ぐ男の方へと向かった
「おい!開け__ん?なんだよ」
ギロリと睨む男の目。
残念ながら現実で上司の目ですら怖かったのに、今じゃもっと怖い金色の王様の目に晒されているからなんともない。
問題無く営業スマイルで『名前』は対応することが出来た。
「お客様、どうされましたか?」
「どうもなにも、テメェの女がヘタクソなせいでブツがひとつもたたねぇんだよ!どうしてくれるんだ!」
どうするって逆に何して欲しいんだよと聞きたいがそれら全てを飲み込む
「……かしこまりました。でしたらチェンジするということで宜しいでしょうか?」
「あァ?!他の女ってお前……こいつですらたたねぇんだ、他のヤツでたつわけねぇだろ!」
「……でしたらキャンセルということでよろしいでしょうか?」
そういうと男は あァ!? と言って扉を無駄に叩いた
中に居る女の子が怖がるでしょ、辞めろっての!
「違ェだろ!責任取れっつってんだよ!」
「……責任とは?」
めちゃくちゃな発言に流石に笑顔も継続できず、客としての扱いを辞めた。
だが男は今度はニヤニヤと笑みを浮かべる
「そうだなァ、ここはテゾーロが取り締まってるんだろう?ならバニーガールでも寄越せよ」
「はあ?」