第5章 Investigative
舌打ちまでするのかと思いながら無視を極めた
ぶつくさといいながら彼はソファにどっかりと座り込み足を組む
「……つまらん」
「何か言いました?」
「……」
ぼそりとそう呟いた彼は『名前』の問いかけを無視した
呆れて『名前』はため息をしまた事務にとりかかった
その後ろ姿をひとしきり彼は見てから『名前』の部屋を出ていった
彼が部屋を出て数秒後、『名前』は力が抜けデスクに伏せ落ちた
「……っはぁ、死ぬかと思った」
というのも、『名前』はテゾーロに殺されると思っていたからである。
彼の不機嫌な声は久々に聞いた。今まである程度適当にあしらっても怒られずにいたからほんの少し……いや、結構なめてたな。
……それにしても、テゾーロの秘書をしている訳では無いから彼の予定に関しては何も知らないけれど毎晩訪れているということはよっぽど暇なのだろうか?
上客との接待ゲームもあるはずなのに。
「まあいいか、助かっただけ儲け儲け。サッと片付けて明日に備えて寝ちゃおう」
『名前』は書類に目を通して軽く要約、課題のチェックリストを作り上げて颯爽と寝た。
…
そうして暫くの間また同じようにいろいろな職場調査をした『名前』。
ホテル、衣料品、船底の小難しい機械類など……レストランの時のようなトラブルは幾つかあったもののなんとか乗り越えることが出来た。
そして最後の職場が__
「___っあぁーん♡♡♡」
風俗店だ。
フロントからでも聴こえる喘ぎ声とベッドの軋む音。
今回は私は受付係として潜入させてもらっている。
嬢として働かないのかと聞かれたが、散々天竜人様の上でお戯れをさせてもらったからもういい。
……いや二度とごめんだ
「__あぁっ♡」
喘ぎ声は最初はうるさいと感じていたが、もう今となっては呆れて心が死んだような気分だ。気にもとめない。
次々と怪しげな、端的に言えば『変な』客を迎えては嬢達の居る部屋に向かわせる。
そして、どんな客でも私は常に笑顔で迎えることが出来た。
こればかりは最初のレストラン等の調査で得た経験もあるが、奴隷の経験が1番効いている。感謝する気は無いが自覚はした。
「それにしても元同じ様なことしてた身だからか、喘ぎ声が本気か嘘かわかるようになっちゃったな……わかりたくない」