第5章 Investigative
「まだ何も終わってません。課題を浮き彫りにしただけであって、それも一部の」
ぱらりと『名前』は書類を手に取った
「この船にはまだやることが沢山ありますから、せめてあの日までには__!」
「?」
即座に『名前』は手を口にあてた
いけない、言わなくていい事まで言ってしまった
後ろを見やると彼は想定通り疑わしそうに私を見ていた。
「ハハ、その顔は意味がある顔……だな?」
「っ……い、いや舌をかんだだけです」
そう言い向き直って誤魔化そうとしたが彼はそうはさせてくれなかった。
『名前』の手をテゾーロはとり制止させる
「その言い訳は流石に苦しいな」
「……いやほんとに何も無いです」
「ほう、じゃあ あの日 について教えてもらおうか」
「それは」
あの日は勿論、ルフィ達が来る日のことだ。
ルフィ達が来ることで私の目的は達成されるようなものだし
だがそれは同時に私が出来ることは何も無くなってしまう。
私がルフィ達に出来ることと言えば今はこの場を少しでも良い方向に向けるしか__
「おい、こたえろ」
「!、だから何も無いですってば」
「ならこたえられるだろう?……私はお前に黙秘権をやったつもりはない」
「……」
彼の悪い癖がでた。
天竜人に支配された過去で彼は上下関係を著しく気にするようになることがある。
__いや、元からそうだった
映画でも部下が勝手に笑うことを許さなかったのだからこうなるのも当然だ。
「……自分の中で期日を作っているんですよ。それを過ぎると本業に支障が出ますから」
「その割には慌てていたな?」
そういう彼の気味悪そうな笑み。
……まあ天竜人よりはマシだ
『名前』はため息をひとつついて濁す
「言わなくてもよいことを言っただけです」
「他にもあるんじゃないのか?」
あぁもうしつこいなぁと思い諦めた『名前』は、
片手を彼にとられたままデスクに向き作業を続けた。
む、と彼は少し不満そうにする
「おいまだ話は終わっていないぞ」
そう言われても『名前』は無視を極める
「……ッチ」