第1章 プロローグ
『名前』は前に向き直り、できる限り天竜人に仕えることをいい事だと思っているようにみせた。
「ったく……無駄に時間を使っただえ。」
「申し訳ございませ__」
と、言いかけたが天竜人に頬を叩かれ阻止された
驚いて少しよろけてしまうが体勢を持ち直し、天竜人の方をみた
「お前は奴隷だえ!わちしが許可するまで笑ったり泣いたりしてはいけないだえ、これは時間を使わせた罰だえ」
「……はい」
ああこれ、ブラック企業で同期がされてたパワハラにそっくりだなと思いながら、言われた通り真顔で返事をした。
それをみた天竜人は嫌な笑みを浮かべた後、『名前』の手錠に鎖をかけてそれをペットの様にひいた
「(……とりあえず、この世界は)」
確信する。__ここはワンピースの世界だと。
夢でありたいが叩かれて痛かったし覚める気配もない。どうせこういうのは死ねば目覚めるからと『名前』は割り切った。
私は何らかの形でワンピースの世界に来てしまった……いや転生してしまった。
どうせ転生するなら違う形で転生したかったが、私は今までのブラック企業生活で自分が不運だということは痛いほど知ってる。
奴隷でスタートなのも納得がいくし、正直社畜もおなじようなものだ。
……痛いこともこういう扱いも別のことで慣れてる。
だけど
「(絶対に……この世界では自分で道を切り開いてやる!)」
生きてみせる。やってやろうじゃないか!
……私の大好きな世界だから。
前に向き直り歩き出す天竜人にバレないように、不敵に笑みを浮かべながら、そっと後ろを『名前』は歩いた。