第1章 プロローグ
「!まさかこのわちしを知らないだえ!?」
「い、いえ!ご存知ですとも。貴殿及び……天竜人はこの下界に君臨す虚構の王の上に立つ世界を創り出した者!神とも言えるべき存在です。」
「そうだえそうだえ……」
天竜人の機嫌をとれたことを確認し本題に戻す
「では僭越ながら質問をさせていただきます。ここはどこでございましょうか?」
「ここは海の上……お父上様が所有する6億ベリーの船だえ」
「船……」
値段もきいてないし、海の上に何故私がいるのかは謎だけれど、簡単には逃げ出せないことはわかった。それに彼等には目的地があるらしい。
「ありがとうございます。この船は何処へいくのでしょう」
「それはお父上様が決めること……わちしは知らないだえ」
成程、この場では彼の父が最高権力者か。
よって目の前にいるこいつは親の脛を齧り放題のバカ息子だろう
「それは失礼致しました。最後に……私はどのような経緯で貴殿の奴隷として仕えれることになったのでしょうか」
そう聞くと天竜人はニンマリと笑みを浮かべた
「お前はさっきいた島でわちしの前に倒れていた無礼な人間だえ!普通なら殺すところを、丁度女の奴隷が欲しかったところだったから奴隷にしてやっただえ!感謝するだえ!」
……天竜人と言うやつは何がなんでも見下したいらしい。
それなら野垂れ死にの方がマシだと思いながらお得意の作り笑顔で乗り切った。
「それはそれは、大変失礼致しました!にもかかわらず、私の身勝手な質問にも答えていただき感謝致します。」
「そうだえ!そうだえ!」
天竜人は愉快そうに笑い続けた
何はともあれ、殺されることなくこれだけ現状をきけたのは幸運だ。
ほっとし、一息ついた。
それにしても、記憶はないけれど倒れてしかも天竜人に捕まるだなんて私相当不運だな
もっと違う場所に倒れててもいいだろうに
「さて……今度はわちしの番だえ。お前、こっちに来るだえ」
「!私でしょうか」
ニヤつく彼にまっすぐ目を合わせる。後ろで震え続ける少女の手をぎゅっと握り返した。
「そうだえ、早く来るだえ!」
「はい!」
若干驚きながら『名前』は瞬時に立ち上がる。少女がまたも心配そうに『名前』に視線を向け声を震わせた。
振り向き『名前』は少女を撫で小さく『大丈夫』といい天竜人にバレないように微笑んだ