第5章 Investigative
想像するだけで背後に冷たいものが走る感覚がした。
「っとにかく!行きますからおろしてください!」
彼はその言葉を待ってましたと言わんばかりに笑みを浮かべて、大人しく『名前』をおろした。
おろされた『名前』はため息をつきネクタイを整える。風呂にいくからすぐ外すけれど。
廊下にでて部屋の鍵が自動でかかった音を聞いてからテゾーロに導かれるまま歩いた。
彼のバスルームは彼の部屋にもあるがそれよりも大きく豪華なものが別にある。
映画ではテゾーロガールズと ともに入る彼の姿が映されていた。金色の湯に浸かり女を従えるあの姿は正に成金と言える。
彼女たちはどうするのだろうと考えているともうバスルームの扉の前まで着いていた。
ここは彼の為につくられたバスルームなので勿論男女別になることはない。従業員用は別にある。
つまり……いやわかっていたことだが、今から私は彼と混浴するのだ。
少々恥ずかしさはあるが散々天竜人の前で裸になったから今更彼の前で裸になることは受け入れれた。
__いや受け入れなければ殺されるから受け入れざるを得ない。
流石にあの忌まわしい数ヶ月で常人の感覚は通用しないから壊れたし捨てた。
ため息をまた吐くとそれに対しテゾーロは む とした。
「私と入るのはそんなに嫌か」
「……いいえ、なんでもないです。とにかく入るなら早く済ましましょう。」
彼に顔を向けないまま『名前』は扉を開けた。
……その場にはテゾーロガールズはいない。
「誰もいない……」
「?……あぁ彼女たちは今は別の仕事だ。今頃カジノエリアでバニーガールでもしてるだろう」
「……そうですか」
成程夜の入浴以外はバニーガールとして働いていたのか。
それはさておき、『名前』はそのテゾーロガールズ達が普段使用しているであろうカゴに向かいネクタイを外した。
今日はブラウスを着ていたのでパンツのベルトを外してからぷつぷつとボタンを外していく。
ドレスが嫌な理由は脱ぐときの行動が奴隷の時のことを思い出してしまうからだったのもある。
一時期は服を脱ぐ行為でさえフラッシュバックが起きてしまい体が固まってしまっていたがだいぶ回復した。
すぐ近くで彼が服を脱いでいる為、布の擦れる音がした。2人しかいないこの部屋では2人の行為の音がよく聞こえる。
彼の吐息さえもだ。