第5章 Investigative
「……ご勝手にどうぞ。私はまだ仕事があるので」
ため息を吐き『名前』は机に向き直ったが、彼に即座に腕をひかれ抱えられた。お姫様抱っこだ。
「!?」
「お前も一緒に決まっているだろう」
「なっ……!」
さも当然かのようにいう彼の目は淀みがない。
本気だ。とわかったはいいが彼は私を抱えたまま部屋の出口まで向かっていった。
「私行かないって言ったじゃないですか!」
「ハハ……お前に選択肢を与えた覚えはないな」
そういう彼の顔はとびきり楽しんでいる様子。
(人の事完全にオモチャ扱いしやがって……!)
「っ……なら降ろしてください!歩けます!」
「なんだ、嫌か?」
キョトンとした顔で彼はそう言った
「嫌ですよ!他の人達に見られたくないです!」
「なんでだ?」
「そんなの……恥ずかしいからです!」
そういうと彼は一瞬驚いた表情を見せたがすぐにニヤリと笑った
「そうか……恥ずかしい、か」
「そうです!」
もしこの光景が見られたら……!
__テゾーロと最近距離が近い『名前』って奴、テゾーロの最近お気に入りじゃあないか?
__あぁそうだな!おとしたんじゃあないか?
……とか噂がたってしまうかもしれないし、私は断じてこのような男とそういう関係を持ってるだなんて噂さえされたくない。