第5章 Investigative
そうして『名前』に有無を言わさず、テゾーロはその書類の作業に取り掛かった。
彼だってさっきまでショーをしてVIPルームで上客の対応をしていた筈だ。助かるとはいえ彼の休憩時間を割かせてまで私の仕事をさせるのは気が引ける。
そう思い『名前』はテゾーロに制止の言葉をかける
「い、いいですから!さっきまで仕事をしていたのに……今日は徹夜するほどじゃないから大丈夫です!」
「別にいいだろう?私の休憩時間だ、何をするも自由の筈だ」
「ですけど、それなら私よりもっと大変な人だっています!その方のところへ……あ……」
そういうも彼は私の言葉を無視して紙にチェックをつけていく。
いつもそうだ。
私の言葉を無視して彼はよそうだにしないことばかりする。
映画の世界では彼はこんなことするような人じゃ無かったはずなのに、なんで……
いつも通り諦めて『名前』は作業机に向き直り書類に目を通した。
スロットの売上の個体差をリスト化しどの台が1番売れているか、回転数が多い台はどれか、それぞれ纏めていく
大量の台数なだけあり量も半端じゃないのでスロットの資料だけでも山積み状態だ。
ふうと息を吐くと、テゾーロがぼそりと呟いた。
「……やれやれ」
「休憩時間ですし、こんなことしてないで お風呂にでもいかれてはどうですか、ショーでの疲れもとれるかと」
まぁ返事はかえらないだろうと『名前』は仕事の手をとめずに続ける。
だが、テゾーロは『名前』の考えに反し、彼女のもとに近づいた。
す、と彼は『名前』の肩に手を置く。
「?どうされました」
「風呂にいくぞ」
「は?」
敬語フルシカトの言葉が口から出てしまい手で押さえた。テゾーロはニヤニヤとし意地悪そうに『名前』を見る。
「どうした、俺が臭いか?」
「っちが……じゃなくて、風呂って」
自分の部屋にある浴槽のほうに目を向ける。
黄金色の湯がボタンを押せば即はいる湯船は未だに嫌で通常のお湯モードしか使ってない。
目線を浴槽のほうにむけた『名前』をみてテゾーロはクスクスと笑った
「この部屋のじゃない、私の ほう だ。」
「私の……?」
「私 専 用 の風呂のほうだ。狭いからな。」
「狭いって……」
私の部屋にあるのも相当大きい筈だが。満足出来ないのはわかるがイヤミかよ