第4章 勤務初日
椅子にもたれ窓に目を向けた。
巨大な窓から見える壮大な眺め……そんな中ショー会場が一際輝いているのがここからでもわかる。
この世界の何パーセントの金がこの船にあるのだろう。
そんなことを考えながらパソコンに目を向けた。
(あとスマホがあれば文句なしだけど……でんでん虫に拘るのはなんでなんだろう)
私がアイデアを出せば開発しようと思えば出来るのだろう。
でもそうするのも今後世界がどう動くかわからなくなる一因になってしまうから却下。
そういえば、経費をみてみたがテゾーロの本当か怪しい領収書は見受けられなかったな。部下は諸々あったけど。
「……もしかして、昨日のドレスも食事も全部ポケットマネー?」
流石この世界の20パーセントのお金を掌握するお人だなぁと改めて思う。
ふ、と笑い『名前』は作業机に向き合った。
「さてとりあえず怪しい人達のリストを見ながら酷い人には警告をして……案外やること多いなぁこの船」
『名前』はそう言いながらも楽しんでいる自分を見ないふりをして作業に取り掛かった。
…
「……ふう」
一方、ショーを終え裏へ戻った黄金帝は汗を零しながら楽屋へと戻っていた。
それをみたバニーガールがすぐさま駆けつけタオルや飲み物をテゾーロに手渡す。
「お疲れ様ですテゾーロ様」
「今日のショーも大成功ですわね」
「……あぁ、ありがとう」
そういうと彼女達の瞳は恍惚に満ち潤った。
そんな彼女等を笑顔で接した後自分の部屋に入りソファーにどかどかと座る。
今日のショーもいつも通り成功だった。
ショーの最中もこの終えた後の達成感も全て愛おしく私をやみつきにさせる。
(天竜人も難なく終えた、今頃海軍の迎えで海の上だろう。)
出来ることなら天竜人の船をショー中に爆発できれば良かったのにと思い想像し彼は舌なめずりをした。
……そういえば、今頃『名前』はどうしているのだろう。
いるはずかないのに昨日彼女を見たVIP席に目を向けたが勿論姿は無かった。分かってたのに彼女を探してしまった。
いい玩具だからいつだって手元に欲しいくらいだがアイツは想像通り一筋縄ではいかない。
(まあ、それがいいんだが……)
アイツの全てを手に入れられたならば、その時私はどんな顔をしているのだろうか。あぁ、堪らなく彼女に会いたくなる。