第4章 勤務初日
「……ご馳走様でした。」
『名前』は席を立ち上がり新聞を畳んでさっき買った鞄に仕舞う。残っていたらしい昨日の分も貰ってひとまず自室に戻ることにした。
「また来ますね」
「……あぁ」
ダブルダウンがそう言ったのを確認し『名前』は扉を閉めた。
扉が閉まり彼もため息をつく。
「災難な奴だ……せめて奴隷よりはマシな待遇を受けているといいんだが」
彼の切なそうなその姿にリッカとテンポは首を傾げながらも、仕事を再開した。
…
「「「お帰りなさいませ!『名前』様!」」」
「ど、どうも……」
ホテルレオーロに入ると同時に出会った部下に深々とお出迎えをされた。
ブラック企業だなと現実での感覚が抜けきらない私は呆れてしまう。
何人もが『名前』の服装に驚き1人が口を開いた。
「『名前』様、そのお洋服……!」
「似合ってる?まあいいや、その挨拶次から無しね」
「えっ」
お気持ちは有難いし純粋な気持ちでしているのだろうが、私にとってそれは申し訳なさしか得られない。
軽い会釈で充分だ。
『名前』は戸惑う彼を横切って行こうとしたが追いかけてくる。
面倒くさそうに『名前』は彼に接した
「何?報告?」
「い、いえ!その、服が美しいというかっ……格好いいです!」
「……!」
捻り出したお世辞かと思ったが本気のお顔。
良かった、このパンツスタイルは今後私のノーマルファッションとなれる。明日からずっとこれでいこう。
『名前』はす、と笑顔になって褒めてくれた部下の1人の頭を撫でた
「!?」
「ありがとうね、今後も皆よろしく」
にこりと微笑んだ彼女に部下とそれを見ていた周りの部下も胸が跳ねた
じゃあ、と『名前』はその場を立ち去る
その後ろ姿を見とれるように彼らは見つめ続けた。
「かっ……かっこいい!」
「俺たち一生ついて行きます……『名前』様!」
そんな声もガン無視どころか聞こえてすらない『名前』はエレベーターへ向かう。
ホテルの従業員、客は彼女のこの船では見られないドレスを着ない彼女に見とれエレベーターに消えるまで視線を向け続けた。
『名前』はエレベーターに乗り自分の部屋の階があるボタンを押す。
「そういえばカリーナ結局いなかったなぁ……ショーの真っ最中かな」