第4章 勤務初日
「その……バカラさん、私は同じ幹部とはいえ私は能力的にも年数的にも下です。そんなふうに接さなくても」
きょとんとするバカラ、暫くすると彼女はみるみる無邪気な笑顔に変わった
「あら!ふふふ……なら『名前』って呼ぶわ。『名前』!私のことは気軽にバカラお姉さんって呼んで!」
「!?」
この人、こんなキャラだったっけ!?
もっと初対面には気を許さないような、気の強い女性のはずではなかっただろうか?……しかし、それに程遠いほど彼女の目が輝いている。戸惑ったが『名前』はぎこちなく言ってみせた。
「ば……バカラお姉さん?」
「──Lucky!私に念願の妹が出来たわ!」
そういってバカラに突然抱きしめられる。何が何だかわからず『名前』はされるがままになっていた。
「(思っていたのと全然違う!?)えぇ?!」
「ふふ……ああ、私ずっと妹が欲しかったのよ。」
「あ、はは……よかったです。」
ふと周りをみると何人もの部下が羨ましそうにこちらを見ていた。まあなんとはいえ美女に抱きしめられているのだ。
そら羨ましいに違いない。
『名前』は彼等を嘲るように鼻で笑った
そうしてやっと離してもらった『名前』は、バカラに聞きたいことがあったのを思い出した
「っと、早速ですがバカラさ──お姉さん、聞きたいことが……。」
「何でも教えるわ!何かしら?」
「その……天竜人の人達のスケジュールを知りたくて。」
「!」
今日は買い物に外にいる時間が多いだろう。いつどの時間に天竜人がいるか、出会いたくないし船が爆破して次の日だ。私が死んだことにしてるとはいえバレてしまう。でも今日までに用意しなくちゃ下着も何もない。
「ええと今日の昼には海軍の迎えが来て……その話もあって20分くらいでここへ向かってくるわ。」
「わかりました、ありがとうお姉さん。」
バカラはとびきり嬉しそうな顔をした後に『名前』の頭を撫でた。それを聞きやっとテゾーロがこの場にいることに納得がいく。朝から私への嫌がらせかと思ったけど、天竜人の相手をしてくれるだなんて彼は意外と優しいようだ。テゾーロのほうに振り返り『名前』は微笑んだ。
「!」
「ありがとうございます。」
「……あ、あぁ」
急に機嫌の良い彼女に目を点にしたテゾーロは気が抜けたまま返事をした。