第4章 勤務初日
テゾーロが機嫌良さそうにでも気味悪く笑う。視線を感じながらも無視して渋々と挨拶をした。
「あぁ、よく眠れたか?」
それはそれはフカフカで広々としたベッドで最近では最高の夢を見れましたよ!庶民育ちには贅沢すぎて起きたら腰痛めたけど
「おかげさまで。何から何までありがとうございます」
朝から部下に人間型目覚ましを食らって目覚め最高!
なんて地位にしてくれたんだ!という気持ちをこめて『名前』は無感情に感謝を伝えた。
「ハハ……感謝の気持ちが全く感じられないのは私だけか?」
「どうでしょうね、では」
もう終わりか、と物足りなさそうにするテゾーロをまたも無視して『名前』はダイスとバカラの二人に近づいた。
テゾーロとの会話の光景を見ていたのかこっちに来ると思わず2人は少し驚く。
「!貴方……やっぱり」
「!入ってきたってのはお前か」
この様子だとテゾーロから伝えられてはいるみたいだ
納得してるかは別として
二人に構わず『名前』は微笑んだ
「おはようございます、そしてはじめまして。
今日からここで働くことになりました『苗字』『名前』です。事務を主にします。よろしくお願いします。」
そういい礼をする。
顔を上げて見えた2人は驚いているとはいえ案外普通の表情だった。
「あぁ、では私も改めて……バカラよ。こちらこそよろしくね。」
はっとして返事をし手を差し出したバカラの手を握り握手をした。手袋のままの手だ。
ダイスのほうへ目を向けると怖そうな見た目だが想定通りの返事だった。
「俺はダイスだ。……殆どここにいる、そんなに関わることはないと思うがよろしく頼む。」
そういいダイスは大きな手を差し出す。『名前』はそっと彼の小指に手を添え握手をした。
一通りしたところで『名前』はバカラのほうに向き直り見据えた
「?」
「あの、昨日はすみませんでした。あんな扱いを……」
バカラは一瞬なんのことか分からなかったようだが、昨日私が適当にあしらったことを思い出し、あぁ と笑顔になる
「No problem ! 気にしないで!能力を知っていたんですし無理もないですよ」
「……ありがとうございます。」
笑みを浮かべるバカラに一瞬見とれた。
テゾーロが愛したステラに顔がそっくりな「設定」の彼女だ、美しいのも当然だろう。