第3章 特別なショー
「私の……為……」
流石はカジノ王
なぜ私のためにそこまでするのかは理解し難いが、とにかくレベルが違いすぎる。
沢山の対策をし、そして火薬だと匂いでバレてしまうから金で行ったとはいえ……天竜人の船を壊したのは事実だ。
しかも彼はそれをショーだとまで言った。
この世界で天竜人に反抗することはとてつもなく凄いことなのに……バレてしまえばこの船だって継続出来なくなることなのに!
「本気で、私を迎えるために……そんなことを……」
「あぁそうだ、お前の為にだ」
そういいテゾーロが指を鳴らすと金に化していた体は元に戻った
「!あ……」
「あぁそうだ、船内にいた奴隷だが……全てこの船で働いて貰うことにした。」
「なっ?!」
「?そうしなければお前も納得しないだろう、あんなに守ろうとしていたんだからな……安心しろ、天竜人の奴隷よりはマシだ」
そう言われ今日会ったリッカやテンポ、ダブルダウンのことを思い出す。彼等がテゾーロに縛られて奴隷のように働かされているとは聞いた。現代で言う社畜。
……でも、天竜人の奴隷よりは確かにマシだ。
テゾーロはリスクを犯さずとも、無視して船ごと爆破しても私を解放するという目的では達成出来たはずだ。
そうしなかったのも……彼なりの過去があったからこその優しさなのだろうか。
ちらりと彼の目を見ると、もう YES 以外の答えは来ないと確信し切った表情だった。
……違う、私は……断れるわけないんだ。
「……わかりました。そこまで言うならば、あなたの元につきます。」
「!」
俯いていた顔を上げてテゾーロの目を真っ直ぐに見据えた。
……『名前』の瞳が輝く。
「後悔したって遅いですよ……黄金帝。」
一瞬、時が止まったような感覚を覚えたがテゾーロはす、と口元に弧を描いた。
「__ハハ、それは無いな。ここまで私がしたんだ……神に逆らってまでな」
へぇ、神ねぇ。と『名前』はニヤリと笑う。
あんなクソ野郎神だなんて認めるわけないでしょ!
私の飼い主様はルフィに殴られるのは知ってても……その日の新聞を見るのが楽しみだ。
「……まぁ、金にされて死ぬくらいならって話ですけどね!」
「へぇ、言うじゃないか」
テゾーロはそっと『名前』の髪を指先にかけた
「お前は本当に……飽きないな」