第3章 特別なショー
「え?…………!!??」
流石にそんなに高い地位だと思わず『名前』は え? の後から声無き叫びへと変わった
バカラやタナカさん、ダイス……ってことはカリーナとも同じなの私!?なんで?!
冷静さが急激に消えた『名前』に耐えきれずテゾーロは彼女に添えていた手を自らの口元にあて笑った
「っ……ふ、は……ハハハハ!」
「いや、だって誰でもこうなりますよ!?なんでなんですか!私何も能力無いし!腕っぷしだって!」
「っぐひ、ハハハハ!……あぁ、ハ……そうだな」
「(いや何今の笑い方ウケすぎだろ)なんで!」
なんとか抑えようとするが全くテゾーロの笑いはおさまっていない。暫くすると落ち着いたのか軽く咳払いをした。
「……ふふ、だがお前は奴隷という立場からあれだけ天竜人に気に入られて地位を手に入れてたじゃあないか」
「あれは……ああしなきゃ誰しも」
「__いや、お前じゃなきゃ無理だな。」
「!」
す、とテゾーロが真剣な目で『名前』をみる
流石に『名前』もその目に胸が跳ねた
「普通天竜人の奴隷になってその酷い扱いに耐えれる奴なんていない……だがお前は違った」
「そんな__」
「お前は寧ろそれを受け入れた。そして……他の奴のためにと自らを犠牲にできた……私の手下でも殆ど無理だろうな」
「!でも__」
「その上、私が勘違いをしてお前を捕まえた時あの状況で、ひとつも緊張に震える姿を見せなかった上助けをこわなかった。」
「う……」
さすがに褒められすぎて『名前』は恥ずかしいと共に、余りの本気さに黙ってしまった。なおもテゾーロは続ける。
「そして公然の前であんなことをされたにも関わらず、一切の反抗をしない……これ程使える人材はあるか?」
「……」
本気の問いかけに顔を真っ赤にし俯く『名前』だが、そのまま『名前』も口を開いた
「……あの、そんなに率直に褒めて貰えたことなくて流石に恥ずかしいというか、嬉しいというか」
「!」
テゾーロはなおも真っ直ぐに『名前』を見つめる
『名前』はでも、と続けた
「……私は天竜人の奴隷な以上、彼らに逆らえないです。やっとのことで得た地位があっても。
それに言った通り、残された他の皆を置いていくなんて出来ないです。」
「……なるほど」