第3章 特別なショー
「埋め合わせ、だ」
「……先に言いますけど無理なものは無理ですからね」
嫌な予感がし予防線を『名前』は張ってみたが、テゾーロはゆうにそれを千切る
「ハハ、拒否すればお前は飾りになるだけだ……金色の」
「……」
『名前』は自分が大きな勘違いをしていたことにやっと気づいた。この部屋はテゾーロの部屋。
食事も衣類も天竜人のことも困らないから安全地だと思っていたけど、この部屋この船一番の狂気……テゾーロが一番好き放題できる場所だった。
叫んでも泣いても許しを乞うても私は助からない。
「……だ、だとして、何を私に」
「ハハハ!さっきまでの腑抜けた態度はどうした?」
確かに今の私は獣の前にいる子うさぎそのもの
正直超怖い、死んじゃうんじゃないだろうか
近づいてくるテゾーロから逃げようとソファから離れようとするが、瞬時に足を金にされてしまい動けないことに気づいたのは考えが思いついてすぐだった。
ソファごと金にされて道端にある銅像みたいな感じで飾られるのだろうかと頭に浮かび背中かヒヤリとする。
そうしてる間に『名前』の横にもうテゾーロが座っていた
「金にするなら言ってください。それっぽい顔します」
「ふ、諦めるのが早いな。私に従うという選択肢はないのか?」
「……麻酔なしで内臓売られるのは嫌です」
割と本気で言う『名前』にテゾーロは流石に笑った
「ハハハ!そんな端金にするよりもいい使い道あるだろう!」
「……全然笑えないです」
なおも笑うテゾーロを『名前』は初めて恐怖の目で見た
「ハハハハ……安心しろ、それはない」
「じゃあなんですか……私美人じゃないから稼げませんよ」
「っぐ……お前は私を笑い死にさせる気か」
「いや本当のことですし」
込み上げてくる笑いを抑えてテゾーロは『名前』の顎を手でひいた
「!」
「__簡単だ、俺のもとへ来い。」
……さっきまで気づかなかったのに、何故か外の騒ぎ声が一番うるさくきこえた。沈黙が流れる。
『名前』は暫く戸惑った後、冷静になった
「職種はなんですかね、営業?事務?」
「……案外切り替わり早いな。そうだな、主に事務だ」
「なるほど、じゃあ地位ってだいたいどの辺__」
「幹部だな」
「カンブ?」
「簡単に言うなら、私の次。バカラやダイス、タナカと同じだ」