第3章 特別なショー
「あのタナ……ええと」
「どうぞタナカさんとお呼びください」
「タナカさん!……ありがとう」
「いえいえ、お召し物もご用意しておりますのですぐお持ちしますね」
「……それもあの人が?」
「?はい、テゾーロ様からです」
本当に財力の次元が違うな……私も異次元から来たけど。
ていうか服まで選んでくれているの!?
……もしかして女ここに連れたらいつもそうしてるのかな
「……あの、タナカさん」
「どうされましたか?」
では、といい床に吸い込まれていくタナカさんを呼び止めて『名前』は小さな声で言った
「……念の為テゾーロさん経費使ってズルしてないか確認した方がいいと思います」
「……???一応心に留めておきますね」
タナカさんは困惑しながらも床に消えていった。
あいつ絶対女連れ込んでこういうことしたら経費でおとして自分の金死守してそうだ。
じゃないとテゾーロマネーなんて無理だと思う。
「……ま、いいや!折角用意して貰ったしこの部屋からは確実に出れないし!金にされても困るから食べちゃおーっと!」
『名前』は一人で食べれるご飯が堪らなく嬉しくて、ディナーが置かれたデスクの方への向かった
だが、肌を撫でる冷気に、自分が下着姿にテゾーロのジャケット1枚なことを思い出し大人しくタナカさんを待つのであった。
…
「……さて、久しぶりだな、こんなことをするのは」
テゾーロは普段は全く歩かない場所を通り、周りのお客に視線を向けられながら目的の場所へと向かっていた。
目的地周辺には人が近づけないように制限をかけた……今からする特別なショーの為に。
新たにくるお客も今の時間は少ない。あまり痛手にはならないし丁度良かった。
ショーの曲を鼻歌混じりに歌いながら歩を進めていると、電伝虫が鳴った。
「……準備は整ったか?」
「はい。周囲には我々以外いないようにとご命令通り……ですが本当にいいんですか?」
手下の焦る声。仕方がない、いつもの私ならこんなことは絶対しないし、相手も相手だ。
……だが彼女をこちらに迎えるならこうするしかないだろう
「あぁ構わん。口実はもう作ってある、実行しろ」
「……はい」
そう言ったのを聞き届けて電伝虫を切った。
「ハハハ……今夜は少し楽しめそうだ」