第3章 特別なショー
「何それ、鍵?」
「あたりだ。起きろ」
アンタがベッドに叩きつけたんだろ!と思いながらも『名前』は大人しく起き上がった
「……いい子だ。」
そのままじっとしてろ、とテゾーロの顔が近づく。
何をされるのかとビクビクしながら『名前』は野獣に睨まれた子うさぎのように震えた。
す、とテゾーロの手が首元にゆき、彼の顔が目の前にピタリと止まる。
ななめ45°にいるテゾーロを見つめていると、カチャ と音が鳴った。
「……?っ!?」
「よし、これで大丈夫だろう。」
『名前』の息のしづらさが解放された 首輪が外れた
__首輪が外れた!?
「っな!?」
「……これでいい」
豪華に装飾が施された『名前』につけられていたはずの首輪は今やテゾーロの手元で転がされている。
……つまり私は自由になったのだ。
「な、待ってなんでっ?!」
「……このほうがお前も可愛らしいじゃないか」
「は?」
答えになってない!
驚きの表情から冷めた表情になる私をテゾーロは笑った
「ハハハ!それとも君はそういう趣味なのか?」
「何言ってんの?」
「まぁ、暫く待っていろ。今夜はいいショーが見れるからな」
「……ショー?」
「ああ、特別なショーだ」
そう言ってテゾーロはもう私が何を言っても振り返らず、部屋から出ていった。
……どうしてこんなことになったんだろう。
いやでもとりあえず
「……お腹すいた〜!」
「お待たせ致しました」
「うわあ!?」
そういった途端に待ってましたと言わんばかりに2頭身の頭がでかい……タナカさんが床から現れた。
『名前』はベッドで飛び上がって、テゾーロから貰ったジャケットを胸に押し付け口をぱくぱくとする。
「おやおや、驚かせてしまったようですね。大変申し訳ございません」
「い、いえ……って何これすっごい豪華!」
一度は驚いたもののタナカさんが持ってきてくれた食事はこの船内でみたどこよりも豪華で、身を乗り出して近づく。
「するるる、テゾーロ様がいつも召し上がっているスペシャルディナーです。」
「成程、流石オーナー……でも私は奴隷ですよ?いいんですかこんな」
「テゾーロ様の命令ですので」
あの人が?……なんで?
さっきから部屋に入れられた上、軟禁されるわ服剥ぎ取られるわかと思えば贅沢な食事……
そういう趣味なの?