第3章 特別なショー
「……申し訳ございませんでした(聞こえてるっつーのクソ貴族!手のひらクルクル変えやがって!)」
貴族達に心の中では中指を立てまくる。
__1発殴りたい。
「わちしが呼んでいるというのに……!あまりに遅すぎるだえ!このクソ奴隷!」
「……申し訳ございません」
まず私は呼ばれてると知ったのはテゾーロの電話が初めてだ。私は携帯何一つ持っていないというのにそれは無茶すぎる。
おまけにこのVIPルームにチャルロスが呼んでから不機嫌になるまでに間に合うとしたら、
せいぜいエレベーターの上り分の時間しかない。
……今日の夜は罰が最高に酷いだろうな
そう思いながら社畜できたわった社畜根性で『名前』は顔色ひとつ変えずに、ただこうべを垂れた。
だが、オロオロしない私が気に入らないのかチャルロスは依然怒ったままだ。
「〜!お前、ここで土下座するだえ!わちしの命令に背いてそれだけなんて許さないだえ!」
「……はい」
公然の前での土下座か、と思いながら『名前』は全く戸惑いもせずに土下座をした。
更に貴族からヒソヒソと陰口が聞こえる
そんな光景をその場にいたダイスや他の手下、そしてエレベーターの監視とはいえそれが聞こえてくるタナカさんはハラハラとし続ける他ない。
天竜人に逆らえば殺されることを誰もが知っているからだ
普通こんな屈辱的なことをされれば少しは悔しがったりするものだが、『名前』は全く動じなかった。
声色ひとつ変えずに、謝り続けている。
つまらないのかチャルロスは更に怒鳴り散らしていた。
「なんだえ!お前はわちしの言うことがきけないのかえ?!」
「(現に聞いてるだろがバカかこいつ)申し訳ございませんでした」
どうしようかと天竜人達や『名前』以外が悩んでいた矢先、無機質な壁から人が現れる。
そうしてやっとテゾーロがその場に来たのだった。
「……?!あれは……」
テゾーロが目の前の光景に驚いていると、彼の手を引いたタナカさんが困ったようにテゾーロに小声で話す
「するるるる、テゾーロ様……かれこれ10分以上はこの状態です。『名前』様が遅れたと言って……」
「……いつも通りのアレか」
「そうです……先程賭け事に負けていらしたので、わざと無茶すぎる命令を言って憂さ晴らしをされているかと」
「……反吐が出る」