第3章 特別なショー
「……」
苦虫を噛み潰したような、いや……何かに対して後悔してるような……?
沈黙の時間が訪れ、何も言えないままでいた。
がその時間を壊したのはテゾーロの電伝虫の着信音だった。
「!……失礼」
「……(噂の電伝虫だー!なんでこんなに発達した世界なのに電話はカタツムリだよりなんだろ)」
この場があまりにも静かだからか電話の音が響く。相手は多分テゾーロの手下だ。
「すみませんテゾーロさん!その……天竜人の方が、奴隷は何処かって。バカラさんは違う方の対応中でして他は誰も知らなくて……」
「……あぁ分かった。すぐ探させるから天竜人にはそう言っておいてくれ」
「!私のこと……」
テゾーロはそういうと電話を切り彼女の足を元に戻して、金の手錠も解いた
「!」
「さて、あまり時間がないみたいだ__」
手錠が解かれた瞬間、『名前』はテゾーロに構わずにジュラルミンケースを取りに行き急いで外に出た
テゾーロはそんな『名前』を急いで追いかけ腕を掴む
「おい、何してる」
「……早く戻らないと、酷くなるから」
「酷く?」
「……っ罰が!」
「!」
『名前』の言ったことにハッとしたのもあるが、思ったよりか細い腕にテゾーロは驚き目を見開いた
なおも離さないテゾーロに苛立ち彼の手を振り切る
「っ……!」
「私の事少しでも同情するなら、もう構わないで!」
そう言ってテゾーロを無視して、天竜人がいるであろうホテルへと急いだ
そんな彼女をテゾーロはただ見つめていたが、ふと頭に昔の思い出がよぎった
「……ステラ」
…
天竜人達と他貴族がVIPルームへ待つ中、『名前』は息を切らしてその場に辿り着いた
当然の如く怒った主こと天竜人こと、チャルロスの怒号が部屋に響く
「何故わちしの呼び出しに早く来ないんだえ!わちしを待たせるだなんて、奴隷の癖に生意気だえ!」
「……申し訳ございません(黄金帝に怒れ!)」
納得がいかないものの目を伏せ『名前』はただただ謝るしかなかった
……それで収まるだなんて微塵も思わずに。
「あら、チャルロス様あの奴隷連れてきてたけどやっぱりね」
「所詮奴隷……身分くらいわかってほしいものだわ」
隠す気がない陰口が『名前』の立場を更に追い込んだ