第12章 新たな刺客
「……今回の私は、あまりそれを守れてなかったな。」
サボとともにダウンタウンへの襲撃を未然に防ごうと動いた後、交戦したあの時。私はいともたやすく男に銃口を向けられてしまった。完全に私はサボのお荷物だった。
まあ私が一般人である以上こうなるのも当然。しかしこの船で、国で生きている以上もう少しは警戒が必要だったと思う。男が私を殺そうと本気だったなら、横にサボがいなかったら、私は簡単に死んでいたのだから。とはいえ、私が今から誰かに稽古をつけてもらったとてそれが役立つにはあまりにも時間が無い。ルフィたちが来ることを考えたら尚更だ。それまで私が生き延びるためには……
「──協力者を増やす、か。」
この国の強者に立ち向かうにはこの国の強者しか相手に成り得ない。それはこの世界を漫画で、アニメで、物語として見てきたときからそうだった。もちろん、あの革命軍2番手のサボが相手するような敵が来れば逃げ切るかは不安だが、たとえばルフィたちにあてがわれた海軍兵士らのように、ある程度を確保すれば時間稼ぎにはなるかもしれない。
それこそ私を慕ってくれている部下に任せれば良いのかもしれないが───あいにく、この国は暴動やらなんやらでいっぱいいっぱいだ。彼らには相応の仕事が常に山ほどある。いやそもそも今回の件については彼らおよび、バカラさんやタナカさんにダイスさん、テゾーロだって巻き込みたくない。本当はサボや革命軍もそうだ。しかし彼らも標的に入っている以上、サボと友達……いや契約を結んだ以上そうもいかないから手を借りる必要がある。できる限りは彼とレイズ・マックスに留めたいものだ。
ともかく、私が無力な以上『青年』のためにも、間接的にはルフィのためにも私は死ぬわけにいかないのだ。深く関わらせる必要はない、一時的に手を借りるその時のために協力者を増やすことにしばらく努めよう。気づけば冷めてしまった珈琲を一気に飲み込みカップを置く。となれば、ここに来るお客は貴族、企業の上役、それ以外は──海軍。
「ここに来るだけあるからだいたい実力も地位もよし……海賊や革命軍の情報と世界政府とも繋がりがある。それにテゾーロに借りがある人もいるはず……!」
今1番私が簡単に強い協力者を得られるのは海軍らかもしれない。大佐ぐらいの実力者を得られたら上々だ。