第2章 グラン・テゾーロ
まあどうせバカラに対しての私の態度がこうするに至ったきっかけだろう
それにしても奴隷相手にこの仕打ち。少しは同情してもらいたいものだ。
「……じゃなくて!私の予想とかどうでもいいから早くして」
「そう急かすな……思ったより暇つぶしにはなりそうだな」
「そりゃどうも!けどあんまり長いとご主人様が面倒だから」
「あぁそのことだが……」
そういい胸元から電伝虫を取り出し彼がカチリとボタンを押すと、賑やかそうな声と音が流れた
「……今お前の飼い主はお食事中だ。その後の余興も用意している。しばらくはお前を気にする奴は一人もいないだろうな」
「なっ__」
__なんて気が利くことを!
彼にとっては私の帰る口実を潰したに過ぎないが、天竜人に会わない、共にしないことがどれだけよいことか。まさか悪役に感動する日が来るとは思わなかった。
一方、テゾーロは目を見開き固まる『名前』を落胆していると勘違いしたのか、私の反応により一層口元に弧を描く。
「さてお待ちかねの本題に入るとしよう。単刀直入に問うが、お前は何者だ?」
「?見た通り、奴隷だよ」
当たり前のようにそう答えると彼は私の両足から両足首まで金に変えた
「ぎゃっ!?」
「ふざけたことを言うとあっという間に金になるぞ」
「えぇ…」
そうは言っても私は奴隷ほかならない。このままだと金の像に変わって生涯を終えてしまう。
「お前のことを軽く調べた。名は 『苗字』 『名前』……先程お前のご主人共に聞いたが随分と気に入られているようだな?」
そりゃそうだ、伊達に努力していないのだから。これだけご奉公してそうじゃなければとっくに死んでる。
「だが」
「!」
「私は情報に関しては人脈があってね、何人かに君のことを聞いたが何も得られなかった。情報一つ得られない、わかるのは名前だけ……あまりにも妙だとは思わないか?」
「えっと」
「時間はある、話してもらおうじゃないか?なあ」
私はこの瞬間ありとあらゆる言い訳を考えては消した。
脅されたはいいものの、どうやって彼を納得させればよいのだろうか。
正直私にもこの状況を理解しきれていない。気づけば社畜からアニメの世界に飛ばされ、奴隷になっていた。
このまま言えば死ぬだろう。
そうこうしているうちにテゾーロの眉間にシワがより、貧乏ゆすりが酷くなっていく。