第12章 新たな刺客
……
「やっと、落ち着きましたね。」
「ええ久しぶりに骨がある方々でしたね、お疲れ様でした。」
「……タナカさんも。」
場所は変わってTHE REORO。先程まで起きていた騒動によってほとんどの部隊が参加しタナカさんやバカラまで前線に出るほど、その場は混乱に陥っていた。2人も少し疲れたのか壁際に寄りかかってさきほど指示をした部下らがワタワタと現場の回復に務めているのを眺めている。
「タナカさんは知られていたんですか?奴らのこと。」
「いえ、私も初めてです。しかし衝撃貝を使ってくるとは──するるる、久しぶりに見たので正直戸惑いました。」
「つまり完全に新しい勢力……情報の出処も厳しそうね。私の能力が知られていたからてっきりVIPルーム利用者かと思っていたけれど。」
「どれも初めて見る顔でしたね、"ほとんど"逃げられたので情報チームの捜索が頼りです。」
「……ほとんど、ね。」
彼女が少しため息混じりにそう言うと両者ともに少し遠くの、向かいの壁際にもたれかかる、一つの屍に目を向けた。唯一確保できた、襲撃してきた集団の一員だ。
「もう少し聞き出せれば良かったのだけれど──まさか見捨てた仲間のために自害しちゃうおバカさんだなんて。」
「するるる、少し面倒くさくなりそうですねえ。」
「……。」
ひとつもそう思ってないだろうに笑うタナカさんを見て、バカラは正直に気味が悪いなと思いながら少し引いた目で彼を見ていた。そうして数秒ほどたった後にタナカさんが呟くように口を開いた。
「それにしても気になりますねェ。」
「え?」
「さきほどのお話……どこから情報が漏れたのか気になりますが、狙いがまるでわかりません。」
「というと?」
「貴方のラキラキの実の能力が知られているだけでしたら、革命軍のようにグラン・テゾーロ自体、またはいつものテゾーロマネー狙いでしょうがそうじゃない。」
「!!……でももしそうならなぜ───」
バカラが言いかけていた時、閉めていたはずの入り口から人が入るのが背景に見えた。部下がすぐに帰すだろうと無視して続きを話そうとしたが部下が声を上げる。
「─────『名前』様!?」
「「!?」」
バッと皆が振り返り一斉に入り口に目を向けるとホッと安心した様子のおだやかそうな『名前』がいた。
「……よかった閉まってたから心配した。皆、無事?」